本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
2009年12月11日開催の Xover Night実施報告。コミュニケーションを意識したキャンペーンの取組み。
キャンペーンの仕掛けや新サービスリリース、Webにおける戦略など、企業の販促事例・クロスメディア事例を中心に取り上げるXover Night(クロスオーバー・ナイト)。今年最後の第6弾は、「牛乳に相談だ。」キャンペーンを展開している中央酪農会議 事務局長の前田浩史氏にお話を伺いました。
このキャンペーン、今年で5年目を迎えるわけですが、取組みは大きく3段階に分かれます。
まず、初めの2年間はターゲットとなる中高生の認知度をUPする取組みが中心でした。牛乳離れが切実な10代に興味・関心を持ってもらうために、この世代の生活パターンの特性にあわせて情報を露出。そのひとつがテレビCMです。見る人に「面白い」と興味をもってもらいつつ、「きれいになる」「集中力がつく」「背が伸びる」など、ひとつのCMにひとつ、牛乳の機能を忍び込ませたつくりになっています。
中高生にとってもっとも身近なメディアであるWebやケータイを活用した展開では、中高生が自由にテーマを設定して相談を書き込める「相談牧場」というコンテンツを用意し、体験型のコミュニケーションができることに重点を置きました。
また私たちは、面白いCMやユニークなキャッチコピーが強く印象に残っていますが、同キャンペーンではロゴデザインも重要な要素である、といいます。前田氏は、「(青地に白文字のシンプルなデザイン+親しみのあるコピーで構成されるロゴの成功がとても大きい。主観ではあるがキャンペーン成功の6-7割を占めているのではないか。」と述べています。
次の1年間は、実際に牛乳を買ってもらうよう注力した時期。キャンペーン自体は8割以上の認知率(2006年9月、東京・中高生)で定着したものの、実際に牛乳を飲むようになったり、牛乳について会話す機会が増えたという点ではなかなか効果がでていない状況でした。
そこでいろいろと分析したところ、接触したメディアが多い人ほど牛乳を飲むようになったという結果が明らかに。つまり、テレビCMだけ見てる人よりも、CM+ポスターとかPOPとか、雑誌広告とか、触れるメディアが多い人ほど牛乳が気になるようになったり飲むようになったりする人が多かったのです。
そこで、この年は実際に牛乳を飲んだり買ったりする場面にキャンペーンを近づけることで、「牛乳を飲むこと」を強化しようという試みに重点がおかれました。CMやポスターでも、今までのコピー(牛乳に相談だ。)に、「と思ったら冷蔵庫にないから買いに行こう。」という表現を追加し、より購入を促すようにしました。 また実際に牛乳を購入する母親向けのコピーを開発し、生協やスーパーなど流通店舗で露出するなどの取組みをおこないました。
2008年度以降は、いままで培ってきたキャンペーンの高認知率を活かして他の企業とのコラボなどを積極的に展開しているといいます。例えばココア、例えばチョコレートなど、牛乳と関係がある商品を一緒にPRすることでの相乗効果を見込んでいます。また、例えばパン売り場で「パンと牛乳でフレンチトーストを作ってみたりして。」というPOPを置くなど、牛乳をプラスすることで栄養価が高くなることをアピールして購入を促す取組みをしているそうです。
現在は、食品偽装問題などで食品の安全性に関心が高まるなか、牛乳は100%国産であることをアピールするCM(間違いなきように篇)が放送されています。
***
他業界の事例として話を聞きながらも、これが「雑誌の発行部数減を食い止める」とか「新聞の購読数を向上させる」とかだったら、どういうふうにキャンペーンをするだろう?などと身近なテーマに置き換えて想像したりしてみると、また違った視点で見れて面白いように感じました。