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電子写真方式のデジタル印刷機においては、ハイエンドモデルとエントリーモデルの2極化が顕著に見られるようになった。昨年のdrupa2008から、これまでライトプロダクションと呼ばれてきた市場に、ハイエンドモデルのメーカーも相次いで参入を始めている。
一方でハイエンドのデジタル印刷機も技術的に大きな革新を遂げている。フルカラーの電子写真方式のデジタル印刷機はさらに印刷速度が向上し、品質面でもオフセット印刷に匹敵するものとなってきた。
トナーを使ったさまざまな付加価値の提案も出されている。5色~7色という多色掛け合わせ、特色を利用して色再現範囲の広い印刷を実現するものもある。また、4色印刷でも高彩度トナーで高演色印刷が可能な機種もある。さらに、クリアトナー(透明トナー)を利用して質感を出すものや、盛り上げ印刷を実現する機能なども登場した。単純に用紙に印刷するということだけではなく、様々な質感をデジタル印刷機でインラインで表現できる技術が登場している。
JGAS2009ではインクジェットでは菊半裁の枚葉印刷機が出展、実演された。給排紙ユニットは枚葉オフセット印刷機と同様ながら、中間部にラインヘッド型のインクジェットモジュールを搭載し、プロセス4色の印刷を行う。印刷速度はオフセット印刷機に及ばないものの、高画質な出力を得ることができる。
輪転方式の高速インクジェット印刷機はそのラインアップを拡大してきた。画質の面ではオフセット輪転機と比較はできないが、バリアブル印刷機能を利用したダイレクトメール印刷などでの利用が拡大している。
インクジェットでは、ハイブリッドプリンティングが話題を集めている。これは、オフセット輪転機や後加工機にインラインで搭載することにより、デジタル印刷のモノクロインクジェットプリントモジュールとして利用する技術である。
デジタル印刷のワークフローは、プリプレスワークフローに統合される形で変貌を遂げている。プリプレスメーカー各社が構築してきたCTP、JDFのワークフローは、デジタル印刷機への出力モジュールを搭載し、ハイブリッド出力が可能となった。一方でWebから受注をするWeb-to-Print機能の接続や、カラーマネジメントをCTPだけではなくデジタル印刷にも効率的に適用できる機能が付加され、さらにはクロスメディア、生産管理のモジュールを持ったものが登場してきた。
環境対応については損紙の削減や消耗品の長寿命化、消費電力の低電力化がテーマとなる。低温定着を実現したトナーの開発や、UV硬化においても、UVランプではなくLEDを利用した低電力システムへの移行が始まっている。材料面でも製造工程でのエネルギー消費量低減やCO2の排出削減、さらには廃棄物を削減などについて、各社とも積極的に取り組んでいる。
(テクノトレンド2009より一部抜粋)