本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
テキスト&グラフィックス研究会で開発した色開発ツールはICCプロファイル解析のほか、画像の色域解析や画像データのミクロ解析、印刷の色管理機能を持っている。今回は色域解析を中心に紹介する。
2010年8月10日付の記事「RGB時代の色管理ツール」でアナウンスしたように、「JAGAT TG色管理ツール」(図1)を使っていただける状況になった。概要や使用方法については8月31日(火)に「JAGAT TG色管理ツール勉強会 」を開催いたしますので是非ご参加ください。
図1:JAGAT TG色管理ツール
「JAGAT TG色管理ツール」は
の四種類の機能を持っており、前回はICCプロファイル解析機能について説明したので、今回はそれ以外の機能についてご説明する。
二番目の機能は色域解析で「おもしろいけれども使い方がよく分からない」という意見も聞かれるが、大切な機能なので心にとめておいて欲しい。人間の目はいい加減というか、相対的なもので彩度が高く見えるがそれがどのくらいの絶対値を持っているかは判別できない。
だから広色域印刷印刷用の写真原稿などは、Adobe RGB域いっぱいに色が再現されていることが最低限必要なのだが、実際にはsRGB程度しか色域を持っていない元原稿から広色域印刷物を作成するため、無理なレタッチにより不自然な色調になってしまうケースが少なくない。
sRGB色域の画像では広色域印刷してもなんの価値もない。図2や図3くらいの色域が最低限必要になってくるが、モニター画面だけで確認していると相当のベテランでも判らないのが正直なところである。印刷されて初めて「ベタッとなって調子がない」「色の伸びがイマイチ」ということが分かるものである。
図2(左):ダイバー / 図3(右):ニモ ※クリックすると拡大
同様にCMYK(もしくは多色印刷)画像を分析してみると色の伸びがビジュアルで把握することが出来る。図4は普通のCMYK印刷(Japan Color 2001)で、図5はKaleidoの色域で、素直に伸びでいるのが分かると思う。広色域印刷は派手な色が出るというのではなく、素直に再現できているということがビジュアルで説明できている。
図4(左):JapanColor2001 / 図5(右):広色域印刷 ※クリックすると拡大
もう一つの使い方がデジタルカメラの特性判別であり、色相環を撮影し、その画像を「JAGAT TG色管理ツール」で解析すると、そのデジカメが測定器のように色を忠実に再現しているのか、レタッチして再現しているのかが分かる。製版や印刷部門の教養としてこの機種は「レタッチ度が強い(演色的)」「忠実に色再現している(測色的)」という知識は持つべきであり、レタッチのリミットレベル判別の助けとするべき情報である。
演色的な画像を無理にレタッチするととんでもないトラブルを引き起こしたりするものだから、このようなカメラはリミットを常に頭に入れてハンドリングする必要がある。図6のように放射線状に各色相が伸びているのが測色的、図7はカーブが入り組んでいるのが分かると思うが、これを演色的という。特に肌色部分が入り組んでおり、肌色部分にカメラがレタッチしている。
図6(左):測色的な色再現 / 図7(右):演色的色再現 ※クリックすると拡大
機能三のミクロ解析はピクセル単位で画像を解析できる機能であり、USM形状などをシミュレーションできる。図8の様にUSM形状をビジュアルに表示することが出来る。図9は機能四の印刷解析であり、目標値との色差が判るようになっている。
図8:シャープ_USM
図9:印刷解析
テキスト&グラフィックス研究会メンバーはこの「JAGAT TG色管理ツール」を使いながらICCプロファイルについて、RGB画像のハンドリングに関して、USMをはじめとする画像細部をミクロ的な品質について、印刷やプリンターでの色管理について研究していきたいと予定している。
研究会会員以外の方にも実費+アルファくらいの費用でTG色管理ツールを使っていただけるように考えていますので、色管理にご興味のある方は「JAGAT TG色管理ツール勉強会 」に是非ご参加ください。
(文責:郡司秀明)
「RGB時代の色管理ツール」
2010年08月31日(火) 14:00-16:10 (受付は13:30より)
RGB/CMYKの変換をグラフィカルに把握できるツールの紹介