本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
※国内のXMLユーザーグループが、XML入力ツールとXML組版支援ツールのフリーウエアを開発した。
XMLコンテンツを組版・印刷する専門的なツールは、既に数多く市販され、利用されている。しかし、それらは専門知識が必要で、敷居が高いという実態がある。
誰でも簡単にXMLコンテンツの入力・管理と組版を行うツールがあれば、XMLパブリッシングの利用や応用範囲もさらに増えてくるだろう。
■JepaXドキュメント作成ツール「Jepasspo」
XMLのコンテンツを作るには、DTPデータを変換してXMLとする方法と、新規にXMLとして作成する方法がある。InDesignなどのDTPアプリケーションにはXMLを書き出す機能はあるが、実際には相当な下準備が必要で簡単ではない。
新規にXMLを作成する場合、タグエディタを使う方法や入力フォームを作成して入力する方法がある。一般的なタグエディタを使いこなすには、かなりの専門的スキルが必要となる。入力フォームを作るツールもあるが、やはり専門的な知識が必要となる。
ツールを提供する立場で考えてみると、いろいろな文書構造に対応した入力ツールを作ろうと思うと、かなり大変である。ただ、対応するスキーマが1種類だけであれば、比較的簡単にできる。
そこで、XMLコンソーシアムの有志が、日本電子出版協会(JEPA)が策定したスキーマであるJepaX専用の入力ツール「Jepasspo」を作った。JepaXは、「章」とか「節」とか「項」とか、階層構造をもっている。
JepaXの文書を入力するには、通常であればそのスキーマを理解していなければならない。GUIを被せてボタンを押したり、プルダウンリストから項目を選んだり、右クリックなどの操作で比較的簡単に入力できるようになっている。ひな型も用意されている。また、XMLの文書は、文書構造が正しいかチェックする必要があるが、Jepasspoそのものがチェック機能をもっている。
■JepaX自動組版ツール「FANTaStIKK」
XMLの文書を組版するには、InDesignなどのDTPアプリケーションに取り込んで組版する方法と、スタイルシート技術を利用する方法がある。
スタイルシート作成には専門知識が必要だが、既存のスタイルシートを利用して簡単に設定・変更するツール「FANTaStIKK」を開発した。これは、JepaX文書からXSL-FOを作成するスタイルシートの設定ツールである。文字サイズやフォント、判型などの設定項目をGUIから変更することができる。設定そのものをプリセットとして保存すれば、プリセットの切り替えだけで、紙面の変更が可能となる。
最後にFOをPDFに変換するには、アンテナハウスのFormatterなどの組版エンジンが必要だが、印刷用データを作成することができる。
■今後の課題
これらのツールは、近々、無償公開を目指している。公開先としては幾つかあると思うが、例えばベクターや窓の杜など、そういうところにおいて、個人名または個人連名での公開を考えている。
現在は取扱説明書、マニュアルを作っている。マニュアルを作る時には、もちろんJepasspoを使っている。Jepasspoを使って、JepaX文書として作成し、それをFANTaStIKKで組版したPDFのマニュアルと、XMLの文書そのものを添付する予定になっている。
(テキスト&グラフィックス研究会 会報No.289より)