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主要印刷市場および製版印刷材料の出荷販売量から見る2008年7月の景況報告
7月の書籍雑誌推定販売金額前年比は△0.4%、4ヶ月連続の前年割れである。ただし、マイナス幅はかなり小幅になった。雑誌は△3.7%だが、書籍が4.9%増と全体を押し上げた。書籍のプラスはやはり「ハリポタ」効果で、これを除くと△6.0%という。如何に他が売れていないかがわかる。雑誌は月刊誌が不振で△4.7%、週刊誌は△0.8%になっている。雑誌の場合、販売金額前年比の落ち込みは販売部数前年比(△6.3%)より小さいが、紙価格転嫁による価格上昇がひとつの要因である。
7月の広告業売り上げ前年比は△6.8%、5ヶ月連続の前年割れである。しかも最大のマイナス幅になった。相変わらずマス4媒体が不振である。新聞は△15.2%となり、4ヶ月連続の二桁マイナス。雑誌も△9.3%、テレビが△4.5%で、結局、マス4媒体全体では△7.6%になった。SP関係も、6月まで伸びていたSP/PR/催事企画が△4.7%と前年割れとなり、紙媒体は全てマイナス成長だった。インターネットも6.6%と、伸びてはいるが今までに比べると小幅の伸びに止まった。
7月の一般インキの出荷販売量前年比は3.6 %増で4ヶ月連続の前年を上回った。平版インキは1.2%増で、5月以降、2.5%増、0.7%増と安定して伸びた。この間、本誌「月次印刷業界動向」で紹介している中小印刷業の売上前年比は、△2.9%、△3.6%、そして△1.0%となっておりかなり乖離している。プリプレスの付加価値低下はないと思われるのでやはり価格低下の影響だろう。7月はグラビアインキも2.5%増と伸びた。樹脂凸版インキは△1.0%で7ヶ月連続の前年割れ。
7月の印刷・情報用紙出荷販売量前年比は7.1%増であった。ただし、内訳を見ると強い斑模様が見られる。非塗工紙は上級印刷紙が7.7%増と大きく伸びる一方、中級印刷紙は△12.8%と3ヶ月連続で二桁のマイナスである。非塗工紙全体では△0.2%である。微塗工紙は23.9%増で、4月、5月に次ぐ20%以上の伸びとなった。塗工紙もアート紙△13.4%に対して軽量コートが15.1%増、コート紙も7.9%増である。価格変動関連の動きとしか考えようがない。
(『JAGAT info』 2008年11月号)