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通販市場は1999年から2007年まで9年連続のプラス成長を続けている。媒体利用率では2006年にネットがカタログを追い抜いた。
通販市場が拡大している。1999年から2007年まで9年連続のプラス成長だ。人口縮小で内需が伸び悩み、小売業が苦戦し続ける状況の中、通販はその存在感を増し続けている。
メディアの多様化が成長に寄与し、取りわけパソコンと携帯電話の普及貢献が大きい。通販企業にとってのメディア多様化は、営業拠点と注文チャネルの増加を意味した。また、ネット経由受注には受注コスト負担を軽減する効果もあった。
JADMA(日本通信販売協会)会員社におけるネット販売額は2007年に6440億円と全体の20%以上を占めるに至り、今も毎年1000億円以上ずつ増え続けている。
通販における媒体の利用率では、2006年に「インターネット(PC)」が「国内カタログ」を追い抜くトピックがあった。インターネットは2007年に47.1%に達する一方、国内カタログは40%前半の横ばいで踏みとどまっている状況だ。
用紙代値上げの影響もあるのか、過去2年間にネット経由での注文だけだった顧客へのカタログ送付を取りやめて経費削減を図る通販企業も出てきたという。
通販のムトウは、主力ターゲットを20~30代の女性に絞って経営資源を集中するとともに、30~40代の女性を主力顧客にすることが多い同業他社との差別化を図っている。
カタログは『RAPTY』などの主力5誌から構成し、常に創刊と廃刊を繰り返して顧客ニーズに対応し続けている。カタログにはブランドイメージを伝えたり、固定客を作ったりすることができる長所があるので、今後も当面は部数は減らさない方向という。
若い層はネットとの親和性が高いので、ネット受注比率が70%台と高い同社に向いている。同社のWebサイト数はPC向けが8、モバイル向けが2、ほかにYahoo!と楽天市場への外部出店もあるという充実ぶりだ。
現在は紙メディアとネットの動線の結び方を課題にし、「CT to Net」をテーマにカタログからネットへの誘導に様々な工夫を凝らしている。次は「NET to Net」として、ネットへ呼んで、ネット来店客に買ってもらえるネット完結型サイトを目指すという。
(『JAGAT Info』2008年11月号より)
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