本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
雇用環境の変化の中で、社員のスキルアップを促し、個々の能力や特性に合ったキャリア形成の支援を目指す助成金制度の積極的な利用を考えたい。
多くの企業が今、クライアントニーズの多様化に伴った技術革新や環境の変化にどう対応していくか、という問題に直面している。専門的知識や課題への対応力、提案力を備えた人材の育成が急務であろう。教育計画も、単に現場でのOJTや新入社員研修にとどまらず、長期的な展望にたったプログラムが求められる。一方、厳しい経済情勢においては、教育予算の増大については留保せざるをえないのが原状だ。
人材育成を組織強化に不可欠と捉え、能力開発のプランニングを計画的に実施しようとする企業には、各種の助成金制度を有効活用することも一考である。国や自治体が推進している制度においては、昨今の経済情勢や雇用の悪化を背景に、助成の対象が増え、より細分化されてきている。
「キャリア形成促進助成金」は、企業の人材育成と労働者のキャリア形成を支援する制度であるが、社員のスキルアップのために、企業が段階的かつ体系的に能力開発を実施する際に活用できる。
キャリア形成促進助成金には2つの給付金があり、さらに助成対象によって種類が分かれている。
職務に関連した専門的な訓練で、事業主が企画・運営する訓練または教育訓練機関で実施
される訓練
短時間労働者等に対し、技能高度化、正社員化を狙いとした専門的訓練
主に新卒者を対象とし、OJTとOff-JTの組み合わせによる訓練
主に新たに雇用される(フリーターなど職業能力形成機会の少ない)方を対象とし、OJTと
Off-JTの組み合わせによる訓練
本人の申し出により、所定労働時間外等で受講する訓練に対し、事業主が経費負担や休暇を
付与する場合
専門知識や技能の習得を目的として実施される社員研修や各教育機関におけるセミナーの多くが、1.の「専門的な訓練の実施に対する助成」の対象に該当する。 *対象:中小企業のみ
受給できる事業主や支給限度額、対象となる訓練時間など適用条件が助成対象によって異なるため、詳細は雇用・能力開発機構の各都道府県センターに確認したほうがよい。定期的に説明会も実施されており、個別の質問も受け付けている。まずは、助成金の概要を把握し、その後、自社での活用方法や導入スケジュールを検討していくべきであろう。
雇用・能力開発機構「キャリア形成促進助成金」についてはこちら
都道府県センター窓口一覧についてはこちら
申請手続きにあたっては、職業能力開発の計画的な立案・遂行を担うキーパーソン(職業能力開発推進者)の選出と、申請書類のカナメとなる「職業能力開発計画」の作成がポイントになる。職業能力体系図にそった年間計画の作成は、労を要する作業に思われがちだが、これによって従業員個々の目標を明確化し、教育計画全体を見通すことができる。逆にこの体系図さえしっかり組み立てることが出来れば、中・長期にわたる人材育成のプランニングもスムーズに進むだろう。
助成金制度の活用を単に研修費用の軽減として考えるだけでなく、社員の能力開発やキャリア形成の機会を見直す契機として、積極的に役立たせたい。
JAGATの助成金対象講座 はこちら