本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
おかげさまで「JAGAT TG色管理ツール」のベータバージョンをリリースいたしました。本バージョンのリリースも2010年10月12日に決定しましたので、ぜひテキスト&グラフィックス研究会サイトをウォッチしておいていただきたいと思います。
「JAGAT TG色管理ツール」は
1.ICCプロファイル解析
2.画像の色域解析
3.印刷色管理
4.画像比較(画像データのミクロ解析)
の四種類の機能を持っており、RGBワークフローには必須のツールだ。
「デジカメ時代のCMYK色再現」には品質の良いICCプロファイルを適切に使うことがキーポイントであり、トーンの滑らかさが何よりも重要になってくる。そんなプロファイルの品質や変換結果が一目瞭然でチェックできるのが一番目の機能だ。
二番目はモニターだけでは判別できないRGBの色分布をビジュアルにチェックできる色域解析の機能である。例えば図1はsRGB領域しか色域を持っていない画像、図2はAdobe RGB領域いっぱいに色域が伸びた画像である。図1のような画像を使用して広色域印刷などを行おうものなら、もともと色の出ていない原稿なのだから「色の調子が出ていない」等の文句が出るのは明白で、無理なレタッチで画像の色調などが散々な結果になってしまうだろう。広色域印刷のためには図2のようにAdobe RGB色域は絶対に必要なのである。見た目だけて良いではないか?と考えたくもなるが、意外にわからないのがRGBデータで、CMYK印刷になって初めて「ベターっとし過ぎている」という具合なのだ。RGBでは問題にならなかった色のサチュレートもCMYKでは大問題になったりする。
(図1)
(図2)
三番目は印刷やプリンターの管理ツールで原稿との色差チェックやバラツキを色相などでチェックできるようになっている。要するに「緑系統で色が合っていない」などが判別できるのだ。このようにCMYKだけの時代は網%だけ追っていれば良かったのだが、RGB時代になるとそれをグラフ化し、マクロ的にチェックすることが必要になってくる。
四番目の機能は画像の比較がビジュアルに行えるもので、例として図3を見ていただきたい。図3の一部を切り出して重箱の隅的(良い意味)に画像を解析できる。例えばソースとターゲットをレタッチ前、レタッチ後とした場合に色度図上でどうシフトするか?をビジュアルでチェックできるというものだ。ここでは簡単のためにAdobe RGBからsRGBに圧縮してしまったことを想定すると図4のようになる。ここで「世の中がWeb中心にシフトし始めているんだからsRGBに統一すれば良いんだ」などと短絡だけはしないでほしい。印刷が得意なシアン系やイエロー系は印刷が勝るが、緑や青では圧倒的に印刷はカラーモニターに劣っているのだ。揃えるなどと言い出したらすべてのケースで印刷がカラーモニターに負けてしまう。つまりこのケースでは印刷が良いところを残しながら差が出ないようにチェックするという意味合いで使っているということである。色差をビジュアル的に高低差で表現すれば図5のようになり、視覚的にはデモ効果のある画像となる。この機能をUSM有り無しで使えば、USMエッジ効果をビジュアル的且つ数値的に把握できる。
(図3)
(図4)
(図5)
T&G研究会ではこの「JAGAT TG色管理ツール」を使いながらICCプロファイルについて、RGB画像のハンドリングノウハウに関して、USMをはじめとする画像細部をミクロ的な品質について、印刷やプリンターでの色管理について研究していきたいと考えている。テキスト&グラフィックス研究会会員の方には管理費用として10,000円、テキスト&グラフィックス研究会会員以外の方は30,000万円でTG色管理ツールを使っていただけるように考えているので、色管理に興味のある方は、是非JAGATホームページの研究会サイトに注意しておいていただきたい。10月6日くらいから案内する予定である。(文責:郡司秀明)