本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
「森裕司のInDesign未来塾!!」というタイトルで、InDesignについて語っていきます。第1回目は「InDesignってどんなアプリケーション?」です。
皆さん、はじめまして。これからInDesignについて語っていきたいと思うのでよろしくお願いします。第1回目は「InDesignってどんなアプリケーション?」です。
皆さんご存じのように、InDesignは印刷物を制作するためのアプリケーションで、一般的にページ物制作に使用されている。とは言っても、何十ページもあるパンフレットやカタログ、書籍をバリバリ制作している人もいれば、自動化で数百ページを一気に処理している人、さらにはIllustratorで作成したドキュメントをInDesignに面付けして、PDF書き出しやプリントだけに利用している人もいるだろう。また、CS5ではウェブモードが追加され、SWFやEPUBへの書き出し機能も強化されたことから、今後はウェブや電子書籍への利用も増えていくだろう。このように使い方はいろいろあるにせよ、様々な素材を取りまとめて編集し、最終的になんらかの形でアウトプットするのがInDesignというアプリケーションになる。
InDesignで行う作業
では、InDesignでどのようにドキュメントをつくり上げていくのか? 基本的な作業の考え方はいたって簡単。テキストや画像、イラストといったアイテムをInDesignドキュメント上に配置し、見栄えよく位置やサイズなどを整えていく作業を行っていけばよい。このように書けば、作業自体は非常に単純だということがわかるだろう。とは言っても実際には、美しく、そして素早く仕上げるために、様々な機能を使いこなす必要があるのも事実。もちろん、印刷や組版の知識も必要となる。高機能であることが、逆に習得するのが難しいと感じさせる一因にもなっている、そんなアプリケーションだと言えるだろう。ただ、作業内容としてはアイテムの配置と編集を行うアプリケーションなので、使い方を覚えれば覚えるほど、作業時間を短縮できるはずだ。ぜひ、深く理解して使いこなしてほしい。
フレームの概念
まずフレームの概念を覚えておこう。InDesignに画像やテキストを配置した場合、必ず入れ物となるフレームが必要となる。画像であればグラフィックフレーム、テキストであればプレーンテキストフレームやフレームグリッドだ。Illustratorのようにドキュメント上をクリックしてテキストを入力するといったことはできない。
また、InDesignのフレームは非常に柔軟性に富んでいる。たとえば、テキストフレームに画像を配置してみてほしい。配置できてしまうのがわかるはずだ。次に、グラフィックフレームを文字ツールでクリックしてみてほしい。テキストが入力できてしまうのがわかる。他社のレイアウトソフトではテキストボックスと画像ボックスの役割は明確に分かれており、テキストボックスに画像を配置したりといったことができないものも多かった。つまりInDesignでは、元のフレームがなんであったにせよ、そこに画像を配置すればグラフィックフレームに、テキストを配置すればテキストフレームに自動的に変換されるというわけだ。
そしてもうひとつ覚えておいてほしいのが、InDesignのフレームはパスで出来ているという点だ。ダイレクト選択ツールでアンカーポイントを選択してドラッグしてみてほしい。フレームが変形するのがわかると思う。さらに、ペンツールでパス上をクリックしてみてほしい。アンカーポイントが追加されるはずだ。InDesignのフレームは単なるパスで出来ているので、その形を自由に変形することができるのだ。
2つのテキストフレーム
InDesignにはテキストフレームが2つ存在する。プレーンテキストフレームとフレームグリッドだ。フレーム自体は印刷されるわけではないので、どちらを使用しても同じように組むことは可能だが、それぞれ性質は異なる。プレーンテキストフレームが単なるテキストの入れ物であるのに対し、フレームグリッドはフレーム自体が属性を持っている。[フレームグリッド設定]ダイアログを見るとわかるが、フレーム自体がフォントやサイズ、字送り、行送りといった書式属性を持っており、テキストにはその書式が適用されて入力・配置される。たとえば、本文のように、あらかじめ決まった体裁がある場合には、フレームグリッドを使用すると自動的に書式が適用されるので効率的に作業できるというわけだ。
おわりに
このように、InDesignのフレームの概念や、2つのテキストフレームを使い分けるという考え方は、他のアプリケーションとは大きく異なる。まずは、これらの基本的な考え方を理解するのが、InDesignを使いこなすための近道。基本的な考え方さえ理解していれば、応用もさほど難しくはない。 (プリバリ印8月号より)