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通信教育や資格試験をはじめ、Webでのネットラーニング(eラーニング)の可能性が実施手段の一つとして模索されている。
■ネットラーニングでの学習の機会が数多くの企業をはじめ個人に至るまで利用され、多様の汎用コンテンツが使用されている。そのテーマやコンテンツは、マネージメントスキル、スキル診断テスト、ビジネススキル、各種資格対策、行動基準、模試テストなど多彩にある。通信教育や資格試験でも、利用者(受講者、受験者)のために、更なる学習効果や効率化の向上を踏まえつつ、今後の検討課題として考えていかなければならない。
■通信教育のeラーニング化では、まず学習者の時間的制約、空間的制約に束縛されない利点が挙げられる。多様な形態でのインターフェースを組むことが可能になり、より効果的な学習効果が期待できる。添削課題やテストと必要なコンテンツ(音声や動画、PowerPointなどの多彩な教材など導入)の連携が自在にはかれ、直感的な操作で学習者のやる気をより喚起させることができる利用者画面と機能が構築できる。学習者個人の経験、知識修得のレベル、進捗状況に応じたパッケージを提供できる。理解度を個別に確認できる仕組みも構築できる。視覚の面でも支援機能として文字の拡大が可能であり、ある意味ユニバーサルデザインの提供が実践されている。一方、eラーニングでは、コンテンツの開発工数が意外にかかってしまったり、サービスの教育効果(投資効果)がわかりづらく経営者の賛同が得られにくいことやなど、実施に向けた課題点も考えておかなくてはならない。
■通信教育、資格試験のWeb上での基本的な流れ(実例)を示してみると、
○Webで所定のホームページにアクセス
○ID、パスワードでログイン ダウンロードファイルの確認
仕組みによっては、この時点で教材のデータを一括でダウンロードしてしまい、それ以降全解答が終了するまでWebでのやり取りを不要にするものもある。
○指定コースの目次を確認。
○希望するタイトルから該当のページにアクセス
○テストの開始(選択式の問題をはじめ、色々なテスト形式にて実施。)、解答
○解答後、採点及び解説をリアルタイムで表示。
(場合によって一括送信後採点)に行なう。
解答直後に、利用者の採点結果を一覧で表示、該当問題の正解答/解説を参照。
該当問題の正解答/解説を利用者が確認することで、理解度を向上。
郵送による通信教育との大きな相違点は、リアルタイムで結果がわかることと、解答提出が一回ではなく仕組みによっては正解がわかるまで何度も取り組むことができ、理解度の向上に効果的なところである。郵送の添削テストにある担当講師とのやり取りによる励みは多少なくなると思われるが。
■DTPエキスパート認証試験では、本試験の受験申請(個人申請専用)や合否通知(郵送)に先立つ合否発表はWebサイトを活用しており、課題制作試験でも、eラーニングまでとはいかないまでも、素材データのダウンロード(それに伴いCD-ROMや手引き冊子は廃止)や課題のデータ提出にてWebを利用した運用を行っている。本試験ではその性質上、現状以上のWebの運用は難しいと思われるものの、現行の更新試験ではその導入は検討課題となりうる。利用者にとっては、上記にある事例のように学習効果を向上させることが可能だと考えられる。一方、Web上では、回線トラブルの可能性、問題のコンテンツがローカルに存在することによるセキュリティーの脆弱性、利用者側への専用アプリケーションのインストールの必要性、様々なOSに対する動作保障、HTMLでの作成によるクライアントマシンとの表示の差異など、多くの留意点があることも考慮していかなければならない。(問題のコンテンツを暗号化して、Flashなどの汎用アプリケーションを利用して表示したり、前述のように素材をダウンロードして解答終了までWebでのやり取りを不要にする仕組みなどもある。)
■現在実施している更新試験の方法ならば、冊子(紙媒体)のため携帯性は高く、鞄に入れて簡単に持ち運びができ通勤途中や休憩時間、入浴時までは無理としても、いつでもどこでも、学習時間を確保することが可能であり、またその性格上、複数人で持ち寄って勉強するといったことも可能である。確かにWeb環境も十分なものにはなってきているが、紙のようないつでもどこでもといった自由の高さにはまだ至っていないように思われる。しかしiPadをはじめとする電子書籍リーダーにその可能性は十分に期待できるし、スマートフォーンでの学習は十分可能であることも事実である。
(資格制度事務局)