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電通は2月23日(水)に、国内総広告費と媒体別・業種別広告費を推定した「2010年(平成22年)日本の広告費」を発表した。2010年の国内総広告費は前年比1.3%減の5兆8427億円だった。
電通の「2010年(平成22年)日本の広告費」 は、1年間に使われたマス4媒体とその他インターネットメディアなどの広告媒体料と広告制作費について推定したものだ。広告市場の景況の影響を受けやすい印刷業界にとっては、次年度の印刷需要やメディア動向を考える上で不可欠な調査である。
「日本の広告費」によると、2010年の国内総広告費は5兆8427億円(対前年比1.3%減)と、2008年から3年連続の減少となった。しかし、対前年比11.5%減と大きく落ち込んだ2009年に比べてマイナス幅は大幅に減少し、下げ止まった感がある。
マス4媒体を見ていくと、テレビが6年振りに前年実績を上回った(1.1%増)。まずスポット広告が活況を呈し始め、続く「2010年FIFAワールドカップ」などの大型単発もプラスに働いた。またエコカー補助金の「自動車・関連品」や、インターネット関連企業の出稿が目立った「情報・通信」なども大きなプラス要素となっている。
新聞、雑誌、ラジオはそれぞれ対前年比5.1%減、9.9%減、5.2%減となり、引き続き厳しい状況だ。この3媒体が2009年に続いて前年割れをしたため、マス4媒体全体では1.9%減となっている。業種別に見ると、「官公庁・団体」「趣味・スポーツ用品」「薬品・医療用品」などからの出稿減少が目立った。
インターネット(9.6%増)、衛星メディア関連(10.6%増)は好調だ。衛星メディア関連は、CS・BS放送やCATVの影響力が広告出稿側に認められるなど、従来企業だけでなく新規出稿企業からの出稿額拡大を促進した。インターネットの総広告費に占める割合は13.3%と、新聞を抜いて第2のメディアとなった2009年よりもシェアを伸ばした。
印刷業界と密接な関係を持つプロモーションメディア広告費は、対前年比4.4%減の2兆2147億円となった。2009年は広告費削減の影響で2ケタの大幅マイナスとなったが、2010年は「POP」が昨年実績を上回った。また、「DM」「折込広告」は減少幅が小さくなり、印刷メディア需要減は短期的には下げ止まり感がでてきた。
「日本の広告費」を見ていくと、緩やかだが広告市場に回復の兆しが見え始めている。2011年も広告市場が順調に回復していけば、徐々に印刷業界へ波及していく可能性があるだろう。今後も引き続き、印刷メディアを取り巻く業界状況をしっかりと見ていくことが極めて重要だ。
3月10日(木)は、電通の「日本の広告費」事務局より講師を迎え、広告市場と広告メディアの最新動向と予測を探るセミナーを開催する。
■関連セミナー
広告市場と購買行動の最新動向2011 -最新調査結果から見る印刷メディアの現在と可能性-
■リリース
電通:「2010年(平成22年)日本の広告費」