本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
印刷界 OUTLOOK2010 【用紙】 2009年の国別紙・板紙消費量は中国が8566 万トンと初めて首位となった。以下米国、日本、ドイツ、イギリス、イタリア、インド、フランス、ブラジルと続く。(日本紙パルプ商事:紙パルプ統計より)
■2010 年の国内紙・板紙の需要は4 年振りに増加へ
日本製紙連合会の調査発表によると、2010年の紙・板紙の国内需要(国内出荷+輸入±流通在庫増減分など)は、前年比2.4%増の2621万トンとなった。サブプライムローンショックの起こった2007 年以降は3 年連続で減少し、2008年には3000万トンを切った。3000万トンは回復していないものの、2010 年は微増となっている。
紙・板紙に占める紙の割合は約60%、板紙が約40%と、2009 年同様の構成になっているが、紙は1.0%増、板紙も4.5%増と、回復は板紙が先行している。紙は、印刷・情報用紙(56.2%)、新聞用紙(構成比21.6%)、衛生用紙(11.6%)、包装用紙(5.5%)、雑種紙(5.1%)から構成される。
2009 年に最も大きな減少幅を見せた(17.1%減)包装用紙は、9.9%増加して84.1 万トンとなり、80 万トン台を回復した。
新聞用紙は21世紀に入ってから360 ~ 370 万トン台で堅調に推移し、2009年には350万トンを割り込んだものの、2010年は1.9 % 減少の330.8 万トンと、需要減が落ち着きつつある。印刷・情報用紙は2007 年から減少が続いたが、2010年は0.3%の微増となった。非塗工印刷用紙2.3%減、塗工印刷用紙2.1%増、情報用紙は2.4%増となっている。非塗工印刷用紙は2001 年から漸減し10期連続の減少となり、出版不況の影響を強く受けているようだ。塗工印刷用紙、情報用紙は増加となり、2009 年の大幅減の反動増もあるが下げ止まりの兆しが見えてきている。
■中国が世界最大の紙消費国に
日本紙パルプ商事『図表:紙・パルプ統計』によると、2009 年の国別紙・板紙消費量は中国が8566 万トンと初めて首位となった。以下米国、日本、ドイツ、イギリス、イタリア、インド、フランス、ブラジルと続く。インドは2007 年まで、ブラジルも2006 年までは上位10 カ国にランクインしたことがなかったことから、近年急成長を遂げていることがわかる。
国民1 人当たりの紙・板紙消費量を見ると、トップが米国263.3kg で、次にドイツ248.9kg、以下日本242.1kg、イタリア191.7kg、イギリス184.5kg と上位に先進国が並ぶ。先進国は既に市場が成熟しているが、中国は国民1 人当たりの紙・板紙消費量が59.5kg、インドは8.4kg で、先進国と比較すると、新興国はまだ成長の余地は大きいと考えられる。 (小林織恵)