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韓国イルジンPMS株式会社
李 在秀
国家産業団地とは、産業の位置づけ及び開発に関する法律によって指定された工業団地の一つで、国家基幹産業及び先端科学技術産業などを育成するために建設交通部長官が指定する場所である。これによって韓国では、世界でも事例がない印刷出版産業団地の造成が活発化になっている。
出版団地は本の街として企画、生産、流通など出版産業の3要素を集積化させて経済的なシナジー効果を指向した文化産業都市で、出版社、印刷会社、製本会社、出版流通会社、紙流流通など出版関連業者が入居する。
例えば出版社で図書を企画、編集してからすぐに、お隣の印刷会社を通じて印刷及び製本を完了して、出版物総合流通センターを通じて全国の読者等に良質の本をより安く速く供給できるワンストップサービスの体制を整える。これで出版社同士が良質の本を作るために相互競争することによって本の質が約30%以上も良くなり、また、関連業者の集積化を通じて物流費用も更に30%程度節減できると言われる。まずはその例をいくつかご紹介しよう。
◆坡州出版団地(Paju Book City、www.pajubookcity.org/ )
坡州(パジュ)出版団地はソウルから60Km北方に離れている坡州市に面積48万坪で造成された最初の国家文化産業団地であり最大規模を誇る。1990年初から団地が造成され出版者、企画会社、印刷会社、大型図書流通会社など"600社がある。
団地の構成は出版、印刷、製本所などがある生産地区に、書店、図書館、流通倉庫、銀行、映画館、ショッピングモールなどがある流通センターと、展示場や博物館、出版研究所などがある文化センター、 その他にアジア出版文化情報センターと出版物総合流通センターなどとなっている。
◆坡州印刷産業団地(Printing Park)
同坡州市に7万坪で造成された印刷産業団地で、5カ所のブロックに分かれた印刷団地と中央公園で構成され、印刷を主題としたテーマーパークとして知られている。
◆大邱出版産業団地(仮称Daegu Printing Park)
地域出版産業のクラスターとして、韓国で3番目の都市である大邱(テグ)市に、大邱出版産業団地が2010年着工された。
団地は24万6000m2に200社あまりの出版、印刷会社と書籍卸売業者などを誘致して集積化して共同装備センター、共同物流センター、人材養成センターなど支援施設が入る予定である。
この事業は衰退する地域の印刷出版産業を文化産業の動力で活用するためのストーリーテリング支援センターを建設、作家らの著作活動を支援する方案も推進され、団地造成工事は2012年6月まで終える計画である。
◆大田・忠南地区の印刷出版産業団地
ソウルから160Km離れた中部内陸都市である大田市に8万1683坪の規模で2012年から着工し2014年に完工予定である。大田市は都心周辺の空洞化と印刷環境の悪化で低迷している。地域に印刷団地が造成されれば、汚・廃水の共同管理や施設装備の共同利用、能率的な作業空間確保などが可能になり、大田市を新しい印刷製造地域として位置づけることを目指している。
(『JAGAT info』2011年4月号)