本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
JAGATでは1994年から毎年『印刷白書』を刊行し、「変革の時代の印刷メディア産業をナビゲートする印刷業界で唯一の白書」として、業界内外でも注目を集めるまでになった。最初の『印刷白書'93→'94』はバインダー形式で、「印刷産業の動向把握に必要な公表データを、できるだけ時系列的に遡って網羅・掲載している」ことを特徴として、Excelで作成した図表が誌面の半分以上を占めていた。JAGATプリンティング・マーケティング研究会の1年間の成果を集約する意味もあって、定価も研究会メンバー価格とJAGAT会員価格、一般価格の3種類があって、限られた読者を想定したものだった。
2006年版から並製本の書籍にリニューアルし、印刷産業界をマクロに捉えた「産業白書」、印刷産業の可能性を探る「ビジネスビジョンブック」、データ集「イエローブック」の3部構成とし、図表から記事に比重が移った。さらに、創立40周年に当たる2007年版では「ヒストリーブック」を加えた4部構成となった。2008年版までの印刷白書は、JAGAT事業の1年間の成果を反映するという位置付けだった。
印刷メディア産業の大きな変化を捉えるために、印刷産業にとどまらない社会の変化に目を向けることが必要と考え、2009年版で初めて「特集」を設け、地域活性化を取り上げた。
そして、2010年版の特集「世紀の分水嶺~新しい社会の仕組み」では、「JAGAT大会2010」の講演内容をベースにまとめた。そのほかには、産業構造から見た印刷産業、産業連関表による印刷需要などのオリジナル原稿を多数掲載し、執筆者も大幅に刷新している。
また、白書という性格から印刷産業に関連するデータを少しでも多く掲載したいと考え、2010年版では、従来取り上げていなかった産業構造に関するデータなどを追加し、経営比率に関する調査比較などを行った。さらに、印刷産業にとどまらず、電子書籍やM&A、新聞業界に関する最新データも掲載した。JAGATが継続的に行っている調査には、印刷産業経営力調査、印刷業毎月観測アンケート、新入社員意識調査などがある。そこに、官公庁や関連団体の統計調査から必要なデータを抽出し、時系列に比較することで有用なデータを提供できると考えた。図版点数は126点と2009年版の78点に比べて飛躍的に増加し、オリジナルの図版も増加した。総ページ数は2009年版と同じだが、定価を大幅に引き下げたことで、より多くの方に読んでいただくことができた。
『印刷白書2011』の特集は「社会とメディアの動向」をテーマに、大震災の印刷業界への影響と復興に向けた取り組み、公益性の意味、印刷・メディア産業の本質的な使命と今後のあり方などを取り上げたいと考えている。
大震災後の自粛ムードの中で、JAGATが「JUMP東北 」を8月26日に開催することを決定したのは、経済活性化のために自粛しないで行事を行ってほしいという地元の声に応えたものだ。東北地域の会員企業の皆様とともに、JUMPを進める中で有意義な特集記事をまとめたいと考えている。
『印刷白書2011』は2011年9月1日(木)発刊予定です。広く産業界に役立つ年鑑という視点から、すべてのデータを精査し、より信頼性の高い白書の編集・制作を進めています。
『印刷白書2010 』の詳細はこちらをご覧ください。