本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
2011年2~3月に調査した印刷会社経営動向調査の最新レポートがまとまった。景気低迷が長期化、メディア変革期も続き、震災の影響も加わって、印刷会社は社会構造の枠組みが大きく変わるほどの変化への対応を求められている。印刷会社の経営と戦略、設備と投資スタンスを同時に調査する唯一の本レポートから最新動向を見る。
売上高は2年連続で前年比5%を超える大幅な落ち込みで3年連続のマイナス、売上営業利益率は2年連続の1%台と史上最低水準に低迷した。従来から続いてきた内製化による収支改善努力も限界に近づきつつあって、各社は従来とは異なる経営の合理化策に取り組む必要が高まっている。資源価格が再び上昇しており、資材料価格が値上げされた場合、各社で吸収できるほどの経営体力はないといわざるをえない。
経営的には支出・投資抑制で短期利益を重視するスタンスが多かった。「強化したい工程」の1、2位は「Web制作」と「電子書籍」だった。「電子書籍」は今回初めて選択肢に加えたが、多くの印刷会社が対応を考えていることが明らかになった。2011年7月の国際電子出版EXPOでも非常に多くの印刷会社・印刷関連産業の出展が目立ち、デジタル時代も印刷会社が情報加工分野のリーダーシップをとる姿勢が打ち出されていた。
設備投資を減らす会社は2年連続で減り、設備投資の行き過ぎた引き締め傾向からは脱している(ただし、今回調査は大震災を挟んだので、震災後は多少引き締められた可能性は高い)。様々な変化をキャッチアップする必要があり、営業をソリューション型に変革していく必要もあって、人材分野への投資を考えている会社が多い。技術ではWeb to Print、電子書籍などデジタル対応への必要性を感じる経営者が多い。
詳細な設問から構成される本調査に回答をいただいた120を越える印刷会社の方々に、心より御礼申し上げたい。33回目となる本調査の調査結果及びその分析はレポート「JAGAT印刷産業経営動向調査2011 」にまとめ、6月中旬に回答企業に献本を送付した。ダイジェストは、2011年6月15日、7月15日発行のJAGAT会員限定誌「月刊JAGAT info」6・7月号に掲載した。希望者には有料で頒布する。
(JAGAT 日本印刷技術協会 研究調査部 藤井建人)
■関連セミナー 【東京・大阪開催】
最新調査結果にみる印刷経営の現在と戦略
2011年9月28日(東京)、30日(大阪)
■関連ページ JAGAT BOOK STORE
【印刷産業経営力調査の概要】
概要:印刷会社120社から調査票を回収
内容:印刷会社の経営状況、戦略、設備
期間:2011年2月~3月
「JAGAT印刷産業経営動向調査2011」
体裁:A4版、104ページ
定価10,000円(税込)、JAGAT会員特別価格5,000円(税込)
発行:社団法人日本印刷技術協会 研究調査部
購入:申込書 に必要事項を記入してFAX送信ください。
【構成】
1.2010年度の印刷会社の経営動向
(1)経営動向の概況
・環境変化に揺れない印刷会社経営を考える
・印刷市場と印刷経営の考察
(2)経営動向指標
・貸借対照表、損益計算書
・生産性、収益性、安全性、人員構成等
・1人当り指標(売上高、加工高、人件費、機械装置額等)
2.印刷会社の業績と経営戦略
(1)業績と経営戦略の概況
・業績良好な印刷会社経営者の思考を探る
・業績良好な印刷会社の戦略
(2)経営戦略
・事業領域、戦略、事業分野、市場ポジション
・財務、顧客、生産、営業、マーケティング、人材と変革
3.印刷会社の設備動向
(1)設備動向の概況
・次年度の設備投資予定
・設備投資の傾向
・印刷機の保有、導入・廃棄意向、満足度
(2)設備保有状況、導入・廃棄意向、満足度
・製版・刷版
・印刷機付帯設備
・製本・後加工
(3)DTP環境
・PCの種類と台数
・アプリケーションの種類とバージョン
・データの入稿形態
4.参考データ
(1)セグメント別の経営指標
・データ:損益計算書・収益性指標・安全性指標・生産性指標等
・セグメント:2地域別(東京とその他地域)、従業員規模6段階別、業種業態6分類別、オフ輪の有無別)
(2)月次の各種前年比推移