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「クラウド」と「ソーシャル」の流れが産み出したITインフラと社会インフラの上で、どのような新しいビジネスモデルを成り立たせることができるか。
『印刷白書2011』でもビジネスモデルを考察
9月12日発刊の『印刷白書2011』では、「震災とメディア」を特集とし、東日本大震災後のメディアのあり方とコミュニティー、公益性、公共性に絞って考察した。24ページの特集記事によって、今回の震災とメディアを総括することができるものではないが、現時点で、印刷産業あるいはメディアがどのような方向に進むべきなのかを探ることは意義あることと考えたからである。また印刷白書全体を通してよく読み込んでいただければ、メディア、公益・公共性、イノベーションの3つの関連図式が見えるのではないかと考えている。
2010年版では初めて「ビジネスモデル」の項を設け、黒坂達也氏に「次世代のビジネスモデルとは何か」を執筆していただいた。黒坂氏はビジネスモデルに関して以下のように解説している。
ビジネスモデルとは「商品とカネを交換する方法」である。商流における様々なボトルネックを、商品特性に合わせて設計・管理する。さらに商品と対価の多様化を前提に、中間者のプレゼンス縮小、権利者の拡大、モノの多様化・細分化・外部化、カネ+ライツについて考える。大き過ぎる環境変化に対応できるビジネスモデルとは何かが問われている。
2011年版では「ビジネスモデル」の項をデータセクション橋本大也氏に執筆していただいた。
「クラウド×ソーシャル時代の新ビジネスモデル考」のタイトルで、この数年間の「クラウド」と「ソーシャル」の流れが産み出したITインフラと社会インフラの上で、どのような新しいビジネスモデルを成り立たせることができるかを、①キュレーション・メディア、②シェア・コラボ消費、③オープンガバメントの3つの有望なキーワードで考察している。
3つのキーワードの詳細は『印刷白書2011』をご一読いただきたいが、橋本氏をモデレーターに、JAGAT主催の「次世代ビジネスモデル・フォーラム2011」を開催することとなった。橋本氏には企画段階から参画いただいたが、「印刷白書では3つのキーワードしか紹介できなかったが、さらに新たなキーワードも幾つか紹介したい」と語っている。
スピーカーには、日本初の雑誌・定期購読専門サイト「Fujisan.co.jp」を運営する富士山マガジンサービスの西野伸一郎氏、マクルーハンの研究者としても知られる朝日新聞社の服部桂氏、映像の著作権等権利処理専業のシュヴァンの寺田遊氏と、各メディアのエキスパートを迎えることができた。さらに、キャラクタービジネスのキャラアニの田村明史氏(JAGATクロスメディアエキスパート認証試験委員会委員長)を加えて、講演会とディスカッションの2部構成で、コンテンツビジネスを巡る活発な議論が期待できる。
橋本大也氏は、大学在学中にWebのユーザビリティーを考える「アクセス向上委員会」を立ち上げ、その後、ITビジネス全般の技術評価およびマーケティング戦略のコンサルティングを開始し、2000年にはデータセクションを設立した。2003年9月から毎日更新しているブログ「情報考学―Passion For The Future」では、書評、ソフトウェア評、IT業界論などを展開している。書評は1700冊を超え、NHK「クローズアップ現代」や、新聞、雑誌、ラジオでも紹介され、書評ブロガーとしても著名な存在となっている。
年200冊以上の本を読み、書評によって本の売れ行きまで左右する橋本氏は、2011年をソーシャルリーディング元年と捉えていて、読者のコミュニケーションが生み出す「知」に着目している。電子書籍時代において、読者は「浅く読み広く共有する」、著者は「短い本をたくさん書く」、書籍は「検索されリンクされる」ものへと変化する。それは、「情報共有の新時代の幕開けであり、出版の黄金時代はこれから」と語る。
■橋本大也氏がモデレーターを務める
「次世代ビジネスモデル・フォーラム2011」
クラウド×ソーシャル時代の新ビジネスモデル 【2011年10月14日(金)開催】
出版・新聞・映像・Web業界から各メディアのエキスパートとともに、新たなIT、社会インフラの上でどのようなコンテンツビジネスを展開できるのかを探ります。
■橋本大也氏のビジネスモデルに関する記事は
『印刷白書2011 』(9月12日発刊)をご覧ください。