本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
大きな環境変化に対応できるビジネスモデルとは何か。重要なことはビジネスモデル自体の斬新さよりも、市場環境にいかにマッチングするかである。
「ビジネスモデル」とは何か
今さらだが、「ビジネスモデル」とはビジネスの仕組み、つまり、どのような事業領域で、どのように収益を上げるかという「収益を生み出す具体的な仕組み」を意味する。従来、事業の方法自体は特許にならないと言われていたが、1998年7月にアメリカでビジネス手法に特許を認めた判決が下されたころから、日本でもビジネスモデルが注目を集めることとなった。
1998年2月開催の「PAGE98」では、フルデジタル化した先にどのようなビジネスモデルがあるかがテーマの一つとなった。「ビジネス・イノベーション」をテーマとした「PAGE99」では、ビジネスモデルに関して、印刷コンビニ、カスタマイズ、アウトソーシングの3セッションを実施している。その後のPAGE展においても、印刷技術の変化よりもビジネスモデルの変化をテーマとすることが多かった。
では、「ビジネスモデル」は既に語り尽くされたのか。いや、そうではないだろう。「ビジネスモデル」に関しては、2011年現在でも皆が四六時中話題にしている。どこかの誰かが、あるいは知り合いがうまいことやっているという話題は尽きない。しかし実のところは実際にうまくやっているのは一部にすぎないのではないか。
「クラウド×ソーシャル時代」のビジネスモデルを考える
『印刷白書』は「変革の時代の印刷メディア産業をナビゲートする印刷業界で唯一の白書」を標榜しているが、2010年版で初めて「ビジネスモデル」の項を設けた。黒坂達也氏は、ビジネスモデルを「商品とカネを交換する方法」と定義し、大きすぎる環境変化に対応できるビジネスモデルとは何かが問われていると問題提起している。
2011年版ではデータセクション橋本大也氏が「クラウド×ソーシャル時代の新ビジネスモデル考」のタイトルで、新しいビジネスモデル成立のためのキーワードを3つ挙げているが、誌面の関係で3つしかキーワードを紹介できなかったと語っている。
日印産連が9月20日に発表した新・印刷産業ビジョン「SMATRIX2020」によると、全産業を顧客に持つ唯一のマルチジョイント産業として「MONOVIS(モノビス:ものづくり&サービス)を活かした新展開が可能であるとしている。そして、MONOVISのキーワードに、「プリンティングマネジメント」「ソーシャルメディア」「ソーシャルネットワーク」「コンテンツ開発」「権利処理」や「マーケティング」「クラウド」などを挙げている。
印刷会社にとって「クラウド」や「ソーシャル」は縁遠いものに思われてきたが、実は既に「クラウド×ソーシャル時代」の渦中にあることがうかがえる。
新しいビジネスモデル成立のためのキーワード
そこで、JAGATでは橋本大也氏をモデレーターにフォーラムを開催し、新しいビジネスモデル成立のためのキーワードを幾つでも挙げていただきたいと考えた。スピーカーには、メディアに関わるビジネスモデルの成功例を紹介していただき、それぞれの課題などに関して突っ込んだ議論ができれば、刺激的でかなり面白いものになることが期待できる。
日本初の雑誌・定期購読専門サイト「Fujisan.co.jp」を運営する富士山マガジンサービスの西野伸一郎氏は、紙媒体だけでなく電子雑誌との相乗効果を模索していることから、同社のビジネスモデルの変遷を語っていただく。マクルーハンの研究者としても知られる朝日新聞社の服部桂氏は「新聞はいち早く電子時代のビジネスモデルに取り組んでいるので参考になるだろう」という。映像の著作権等権利処理専業のシュヴァンの寺田遊氏は、メディア戦略と著作権に関して「できるだけ実例を交えて権利処理の重要性を紹介したい」と語っている。さらに、キャラクタービジネスのキャラアニの田村明史氏(JAGATクロスメディアエキスパート認証試験委員会委員長)を加えて、会場を巻き込んだディスカッションを実現したいと考えている。
■締め切り迫る!
【2011年10月14日(金)開催】
橋本大也氏がモデレーターを務める
「次世代ビジネスモデル・フォーラム2011」
クラウド×ソーシャル時代の新ビジネスモデル