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印刷会社のクライアント企業へのアンケート調査から得られた、印刷会社に求められる人材育成について考察した。
この調査は、JAGAT発行の月刊誌「プリバリ印」が印刷物の発注者に向けてWebアンケート方式により集計したものである(2009年、有効回答数119件)。
■ビジネスモデルが変化していく今、クライアントが印刷会社に求めるものは、現状の改善やクロスメディア展開による解決提案ができる印刷営業である。
クライアント(顧客)が印刷物に求めるものは何か? 単に品質、綺麗さ、見栄えのみだろうか?値引きや納期短縮の提案だけでよいのだろうか? 印刷物は、クライアントの目的に応じて有効活用される。そうしたなかで、印刷物に限らずその目的に応じたメディア(媒体)の多様化が進んでいる。
クライアントは、印刷物だけに限らず多様なメディア対応、それらの連携を含めた提案を求めている。印刷会社の営業担当者が的確なアドバイスを行い、クライアントの良き相談相手になることが必要になってきた。印刷会社側はクライアントのニーズに応えられる体制を築き、それをきちんと実践できる営業担当者を育成しなければならない。
■提案力とは、クライアントとのコミュニケーションから課題と解決を論理的思考で考察していくこと
印刷ビジネスを取り巻く環境変化に対応するために、受け身の受注体質から、受注にいたる仕掛けを自ら作り出していかなければならない。それには、印刷物の目的は何かを考え、その目的を達成(解決)する方法を提示する必要がある。クライアントのビジネスについてヒアリングし、その目的をつかむコミュニケーション能力と分析力、分析結果に基づき課題を解決する方法を論理的に設計しその効果とともに提示していく能力、これが提案力です。
印刷会社は、メディア産業の一員として、メディアを活用した解決策の企画提案をしていく能力を持った人材を育てることで、事業領域と活躍の場を広げていくことが可能になる。
■クロスメディアとは、多様な情報メディアを効果的に活用することにより相互作用・相乗効果を高めること
「クロスメディア」「メディアミックス」「マルチメディア」似たような言葉が多く存在するが、違いはどこにあるのだろうか。クロスメディアは単に複数のメディアを選択するというのみではなく、「組み合わせること」「掛け合わせること」によって相乗効果を生み出す提案である。
多様な情報メディアの特性をつかみ、効果的な解決方法(ソリューション)を提案し、クライアントのビジネスに相乗効果をもたらすこと。つまりクライアントのビジネスの最適化まで踏み込んで考えることによって、初めて真の「相談相手」になることができる。