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本社ビルの1~3階に設けた展示スペースで自社が手掛けてきた仕事と強みを紹介しながら、PRをする「オープンハウス」は、東京・飯田橋にある株式会社フォレストが2010年に始めたイベントだ。既存顧客や印刷関連企業だけでなく、地域企業や地域住民に「何ができる会社なのか」を知ってもらう新しい試みである。
2年目となる今回の「フォレストオープンハウス 2011」は、「紙の可能性と加工」をテーマに、10月6、7日の2日間に渡って開催された。工夫を凝らした展示形式で、フォレストが力を入れる「電子書籍」、「DTP」、「POD」の取組みが紹介され、オープンハウスの模様は動画共有サービス「USTREAM」で生中継された。
1階の入口を抜けると、同社と地域の発展の歴史がわかるような、本社ビル竣工の様子に本社前の通り、当時の町並みを年代ごとに撮影したパネルや、銅凸版、亜鉛版などが並んでいる。受付カウンターではスタッフが迎えてくれ、オープンハウスのテーマや各階の展示内容の簡単な説明を受けることができる。
2階の「電子書籍」と「DTP」の展示スペースにはiPadが置かれ、これまでの実績やそれぞれの制作工程を動画で紹介していた。また、中文組版の展示の前には、台湾人社員が中国語で展示物を解説した音声を録音したレコーダーが置いてあり、いつでも再生して説明が聞けるよう工夫されていた。
■複雑な数式の作り方を動画で紹介
■レコーダーを再生すると中国語の解説が流れる
「組版をして出来あがった本をただ展示するだけでは意味がない、来場した方に見て、触ってもらい、実際に体験してもらう仕立てを考えた」と社長の茂木徳久氏はいう。実際に作っている「社員の顔を売る」ことをコンセプトの1つに設定し、オープンハウスの企画や展示内容は全て社員が考えた。
3階の展示コンセプトは「ワンストップサービス」と「エコロジー」で、協力企業に呼びかけて集めた多彩な封筒やDM、カレンダーなどの印刷加工見本を展示し、石から生まれたエコ紙「ストーンペーパー」や竹パルプのみを原料にした「タケバルキー」、「ケナフ」や「わらがみ」など環境に優しい資材も紹介されていた。
■環境に配慮した資材を数多く展示。それぞれがどのような資材か詳しく説明されている
既存顧客や印刷関連企業だけでなく、地域の企業や住民に「何が出来る会社」か知ってもらうことで、すぐに取引に繋がらずとも、困ったときの相談相手になることができる。ニーズの多様化、印刷の小ロット化など市場が変化している今だからこそ、自社を宣伝するオープンハウスという試みは有効なのだ。
(JAGAT 日本印刷技術協会 研究調査部 小林織恵)