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印刷産業の市場規模に関する代表的なデータには「工業統計」の製造品出荷額と「印刷統計」の生産金額がある。『印刷白書2011』では両データをグラフ化して市場の変化を捉えている。
JAGAT『印刷白書2011』では、印刷産業の市場規模データとして、「工業統計」の製造品出荷額等を利用し、全数調査を開始した1955年以来の推移を、事業所数・従業者数とともに表にしている。また、「印刷統計」の生産金額を表にまとめ、前年比と製品別・印刷方式別寄与度の推移をグラフ化することで、市場の変化を捉えやすくしている。
『印刷白書2011』第2章関連資料より
『印刷白書』では印刷メディア産業に関する資料を精査し、有用な資料をできるだけ多く掲載することで、営業・マーケティングや調査・研究などの幅広い用途に役立つ内容にしたいと考えた。
『印刷白書2011』の掲載数字に関する問い合わせが何件か寄せられたことから、今回は「工業統計」と「印刷統計」に関して補足説明をしたい。
一定の時点における製造業全体の構造を把握することを目的とした「工業統計」は構造統計で、毎年12月31日現在で実施されている。これに対して、「印刷統計」は月々の動きを把握する目的の動態統計で、速報性を重視して標本調査で行われている。
調査対象の違いから、「工業統計」と「印刷統計(年計)」の売上高は一致しないが、その内訳も大きく違っている。「製造品出荷額等」は、製造品(製造工程から出たくず・廃物を含む)出荷額、加工賃収入額、その他収入額(修理料収入、転売収入など)の合計で、消費税等内国消費税額を含んだ額である。
一方、印刷統計の「生産金額」は、製品別内訳(出版印刷、商業印刷、証券印刷、事務用印刷、包装印刷、建装材印刷、その他の印刷)と印刷方式別内訳(凸版印刷、平版印刷、凹版印刷、孔版印刷、フレキソ印刷、その他の印刷方式)で集計されて、両者の合計額は一致する。その定義は「契約価格又は生産者販売価格により評価したもので、企画・編集費、製版費、製本・加工費及び紙などの印刷媒体費、積込み料、運賃、保険料、その他の諸掛りを除き、消費税を含めたもの」とされている。
統計データでは、実数だけでなく前年比や長期時系列変化も有用である。しかし、調査対象の構造変化に対応して、分類基準や調査項目を改正する必要がある。
「工業統計」では、2007年調査から製造品出荷額等に「その他収入額」を調査項目として追加している。これは、製造業の事業内容に、サービス事業を始め多様な事業が含まれるようになった実態を反映したもので、時系列としては不連続になっている。
2012年2月1日に実施される「経済センサス-活動調査」は、これまでの産業別の統計調査では産業間の正確な比較が困難なことや、サービス分野の統計の不足などの理由から新設された。工業統計調査は毎年12月31日現在で実施しているが、2011年は工業統計調査を実施せず、「平成24年経済センサス-活動調査」の中で、製造業の活動を把握することとしている。なお、2012年12月31日現在で実施する調査は、これまでと同様に「平成24年工業統計調査」として実施される。
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印刷白書では、広く産業界に役立つ年鑑という視点から、様々な統計データを駆使しています。
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