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国立デジタル図書館で「デジタルブックフェスティバル2011」が開催された。この行事は国立中央図書館と韓国電子出版協会が共同主催して、40社ほどの電子ブック企業が参加した国内最大電子ブックの祭典である。業界や学界のみならず一般の見学者からも熱い興味を抱かせた。
韓国イルジンPMS株式会社
李 在秀
2011年9月27日から29日まで3日間、国立デジタル図書館で「デジタルブックフェスティバル2011」が開かれた。 この行事は国立中央図書館と韓国電子出版協会が共同主催して、40社ほどの電子ブック企業が参加した国内最大電子ブックの祭典である。「電子ブック体験展」と「スマートパブリッシング カンファレンス」で構成されたプログラムは、電子ブックの現在を感じて未来を展望する内容が充実しているイベントとなった。業界や学界のみならず一般の見学者からも熱い興味を抱かせた。
電子ブック体験イベント
電子ブック体験のイベントでは200台余りのスマートデバイスで、1500種余りの電子ブックを直接見て体験できた。そのカテゴリーにより「デジタル出版エリア」「App出版エリア」「マガジン出版エリア」の3つに分けられた。
「デジタル出版エリア」では、中国、ロシア、日本、ベトナム、カンボジア、モンゴルをはじめとする多様な言語で読み上げる音の出る童話電子ブックがリリースされたものが展示された。最近、韓国で急速に増えている多文化家庭の子供たちも、それぞれの母国語で電子ブックを楽しむことができた。
「App出版エリア」は児童向けマルチメディア電子ブックが主流であった。子供たちの中には、電子童話本のタッチ効果に時間が経つことも忘れて夢中になって読書する子もいた。
「マガジン出版エリア」ではQuarkXPress9のApp Studioを活用したコンテンツが注目を浴びていた。既存のQuarkXPressを利用して出版作業をして来た業界関係者はQuarkXPress9が電子ブックまで作り出すという事実に驚いた様子であった。
どこのエリアでも短い時間に急成長した最近の韓国内電子ブック水準に驚いた様子であった。
Smart Publishing Conference
フェスティバル開催期間中に、国立デジタル図書館ではモバイル融合時代の電子ブック先端技術とビジネスモデルが提案された。また、韓国電子出版学会の主管でコンテンツ標準化の重要性と電子出版共同製作センターの常設展示化、100個余りのアジア電子ブック出版関連業界と連合した「アジアSmart Publishing マーケット」の構築など、多様な企画をとおして企業等を持続的に支援する計画を発表した。
紙の本の出版と流通では明確に区分されていた役割が、電子ブックに移行していく中でかすみつつある。 電子出版では著述、企画、翻訳、編集、校正、デザイン、印刷、製本、流通と販売などに分かれていた既存の紙の本出版領域を、一つに融合するような新たなスタイルが登場している。
電子出版では著者と出版社、プラットホームの境界線があいまいになる。 電子ブック作成ツール開発会社が電子ブック流通プラットホームをサービスして、出版社が直接電子ブックを「製作」して印刷所の役割を引き受ける。 著者が直接に本を出版して出版社を作り、著述と著者発掘を同時に進行したりもする。
このイベントで 電子出版が多様な形態で成り立つのを知ることができた。ある電子ブック出版社は著者を発掘して企画するところまで進んで、さらに電子ブック作成ツール無しで電子ブックを作って展示した。満足なEPUB作成ツールを探せなくて社内デザイナーが直接コーディング作業を引き受けたということであるが、出版社と開発会社の領域がなくなった事例である。