本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
『印刷白書』では、官公庁や関連団体の統計調査から必要なデータを抽出し、時系列で比較することで、印刷産業の実態に迫りたいと考えている。
2010年10月1日現在の日本の総人口は1億2805万7352人、2005年調査からの増加率は0.2%で、1920年の調査開始以来最低の増加率となった(総務省「平成22年国勢調査」)。そのうち日本人人口は1億2535万8854人で、5年間で37万1294人(0.3%)減少した。総務省は「日本は人口減少社会に入ったが、外国人の増加で総人口は横ばいの状態」と分析している。
国勢調査は日本で行われている最も大規模な調査で、日本に住んでいる全ての人と世帯を対象に5年ごとに実施されている。人口や産業などに関する全数調査、またはそれと同程度の大規模調査を「センサス」というが、日本では人口センサス(国勢調査)を「センサス」と呼ぶ場合が多い。
全国全ての企業・全ての事業所を対象とする「経済センサス(経済に関する国勢調査)」は、経済統計の精度向上などの観点から新設され、2009年に「基礎調査」が実施された。そして、基礎調査結果の事業所・企業の名簿を基に、いよいよ2月1日に「平成24年経済センサス-活動調査」が実施される。
なお、既存の統計調査との重複を省くために、「事業所・企業統計調査」「サービス業基本調査」「本邦鉱業のすう勢調査」は廃止となり、「平成21年商業統計調査」「平成23年工業統計調査」「平成23年特定サービス産業実態調査」は中止された。
統計法では、行政機関が作成する特に重要な統計を「基幹統計」と位置付け、報告義務や罰則規定を設けている。その結果、正確な統計が作成されるが、全数調査の結果がまとまるまでにはある程度の時間が必要になる。
例えば、「工業統計」は2010年速報値(4人以上の事業所)が最新データで、全事業所の推計値は2012年3月以降の「産業編」の公表を待つ必要がある。「平成24年経済センサス-活動調査」の結果は、調査から1年後の2013年1月末に速報が公表され、確報はさらに半年後の2013年夏以降に順次公表される予定である。
JAGAT刊『印刷白書』では独自調査(印刷産業経営力調査、印刷業毎月観測アンケート、新入社員意識調査など)の結果から、印刷産業の現状を報告してきた。さらに、官公庁や関連団体の統計調査から必要なデータを抽出し、時系列で比較することで有用な情報を提供できると考えている。
『印刷白書』が利用している基幹統計には、国民経済計算、産業連関表、法人企業統計、毎月勤労統計調査、賃金構造基本統計、工業統計調査、経済産業省生産動態統計(印刷統計)、経済産業省企業活動基本統計がある。
印刷産業市場規模に関して利用されることが多い、工業統計と印刷統計に関しては「印刷産業市場規模を推計する有用なデータ」 をご覧いただきたい。
印刷需要を推計するために、『印刷白書2010』では初めて「産業連関表」を利用した。「産業連関表」は1年間に国内で行われた財・サービスの産業間取引をマトリックスにした統計表で、一国の経済の流れを一覧できることを目的に作成されている。全産業を対象としたその規模の大きさから、一見しただけでは理解しにくい部分もある。しかし、「印刷産業の見取り図」として役立つものであることから、最新刊の『印刷白書2011』ではさらに噛み砕いて理解していただけるように努めた。
「産業連関表」は、他の統計を加工することによって作成される加工統計(二次統計)で、公表時期は工業統計などの調査統計(一次統計)よりさらに遅れることになる。総務省など10府省庁の共同事業として5年ごとに作成されているが、最新版は2009年3月公表の「平成17年(2005年)産業連関表」(17年基本表)である。
経済産業省が毎年作成している「延長産業連関表」は、基本表をベースに延長推計したもので、最新版は2011年3月公表の「平成21年簡易延長産業連関表」と「平成20年延長産業連関表」である。
『印刷白書2011』ではこの3つの最新版を利用して、印刷需要やその経済波及効果を分析している。
「平成21年簡易延長産業連関表」(固定価格評価表)で印刷産業の需要と供給の流れを見ると、「総供給額(総需要額)」が6兆3072億85百万円で、供給側である「国内生産額」は6兆2536億64百万円、「輸入」は536億21百万円となった。一方、需要側から見ると、「中間需要額」が2兆6226億34百万円、「国内最終需要」は911億67百万円、「輸出」は864億45百万円となった。
次回の産業連関表は、17年基本表の5年後に当たる2010年となるはずだったが、重要な基礎資料となる「経済センサス-活動調査」の調査対象年次が2011年であることから、「平成23年(2011年)産業連関表」を作成することとなった(2014年10月以降に速報の公表、2015年1月以降に確報の公表を行う予定)。
2012年3月中旬には、経済産業省から「平成22年簡易延長産業連関表(平成17年基準)と「平成21年延長産業連関表(同)」が公表される予定である。『印刷白書2012』では、これらのデータを利用して、より分かりやすく役立つ誌面にしたいと考えている。
『印刷白書2011』 では、「延長産業連関表から見た印刷需要と経済波及効果」を豊富な図版により分かりやすく解説しています。ぜひご参照ください。