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電通は、国内総広告費と媒体別・業種別広告費を推定した「2011年(平成23年)日本の広告費」を発表した。2011年の国内総広告費は前年比2.3%減の5兆7096億円だった。
1年間に使われた広告媒体料、広告制作費について推定した、電通「2011年(平成23年)日本の広告費」は、広告市場の景況の影響を受けやすい印刷業界にとって、次年度の印刷需要やメディア動向を考える上で非常に重要な調査である。
「日本の広告費」によると、2011年の国内総広告費は5兆7096億円(対前年比2.3%減)と、2008年から4年連続で減少した。東日本大震災、欧州金融危機、タイの洪水被害などが日本経済に大きな影響を与えたものの、年後半は広告出稿が活性化し、回復の兆しが見えた。
マス4媒体広告費は前年比2.6%減と7年連続で前年を下回り、媒体別に見ても、テレビ(同0.5%減)、新聞(同6.3%減)、雑誌(同7.0%減)、ラジオ(同4.0%減)の全てが減少した。しかし、地デジ化に際しての3波対応テレビの普及で、衛星メディア関連広告費は前年比13.6%増と高い伸びを示した。
インターネット広告費は、ソーシャルメディアなどの新手法の活用が増えたために前年比4.1%増と、伸長を維持してる。また、急増するユーザー数や注目の高まりに応じてスマートフォン向け広告費は急激な拡大を見せており、今後も引き続き拡大していくことが期待される。
印刷業界と密接な関係を持つ折込、DMなどを含むプロモーションメディア広告費は、前年比4.6%減の2兆1127億円と4年連続で前年を下回り、内訳の全てがマイナスとなった。デジタル化やインターネットとの連動なども一層顕著となってきている。
1、2月は前年比で回復傾向にあった折込広告(前年比4.1%減)だが、震災の影響を受けた3月は大幅な出稿減となった。しかし、秋以降からは回復傾向がうかがえる。DMは前年比4.0%減となったが、冊子やカタログなどのダイレクトコミュニケーションは引き続き増加傾向にあり、今後も重要性は増していくだろう。
調査結果を見ると、2011年は震災などの影響を受けて前年実績をやや下回ったものの、後半から回復の兆しが見え始めた。広告市場が順調に回復していけば、印刷業界への波及も期待できる。今後の印刷市場を考える上で、印刷メディアを取り巻く状況や生活者の動向を捉えておくことが重要だ。
(JAGAT 日本印刷技術協会 研究調査部 小林織恵)
3/29(木) 14:00-16:00
広告市場の最新動向と変化が続く購買行動 -最新調査結果から見える印刷メディアの可能性-