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JIS X 0213では、“–”の日本語名称として“二分ダーシ”と“ダッシュ(二分)”を掲げている。英語名称は“en dash”なので、二分ダッシュ(半角ダッシュ)などとも呼ばれている。
二分ダーシの代表的な用例は、年号やページ数などの範囲を示す場合である。23–36ページや1998–2012年のようになる。
“–”は、JIS X 0213では参考ではあるが、日本語名称に“二分ダーシ”と“ダッシュ(二分)”を掲げている。英語名称は“en dash”なので、二分ダッシュ(半角ダッシュ)などとも呼ばれている。
“'”(プライム)もダッシュと呼ばれるので、それとの差異を示すために、“ダーシ”という呼び方が出たのだと聞いたことがある。
二分ダーシに似た記号にハイフンや負記号、全角ダーシ(全角ダッシュ)がある。図1に例を示す。
これを見るとわかるように、一般に二分ダーシに比べるとハイフンの方がいくぶん線が太く、そして短い。
JIS X 0208の文字集合に二分ダーシが含まれていなかったので、ハイフンに比べると二分ダーシの入力は簡単ではなかった(JIS X 0213では、その文字集合に追加された)。
そのため、ハイフンと二分ダーシは混用され、市販の本でも二分ダーシの使用が望ましい箇所にハイフンを用いた例をよく目にした。なお、MS Wordでは、ずいぶん前から“挿入”→“記号と特殊文字”→“特殊文字”から二分ダーシ(半角ダッシュ)は入力が可能であった。
二分ダーシの代表的な用例は、年号やページ数などの範囲を示す場合である。
23–36ページや1998–2012年のようになる。
(ハイフンを用いると23-36ページや1998-2012年のようになる。)
範囲を示す場合、23~36ページや1998~2012年のように波形(波ダッシュ)を用いる例がある。ただし、波形は別の意味を示す記号なので避けた方がよいという意見もあるが、日本語の本ではよく用いられている。
なお、縦組で漢数字を用い、範囲をダーシで示す場合は、全角ダーシを用いる。
二分ダーシは、固有名詞などの単語の結合にも用いる。例えば、“Boyle–Charle's law”のように、科学の法則では人名をつないで示す例があり、この場合はハイフンではなく、二分ダーシでつなぐ。片仮名で示す場合も同様に“ボイル–シャルルの法則”のように2人の人名を二分ダーシでつなぐ。
ハイフンは、複合語のつなぎ符号として、および分綴するときに使用する。しかし、単語と単語をつなぐ場合は、複合語とは異なる。二分ダーシを用いれば、複合語との差異を示すことができる。
こうした用法は、慣習である。読者は、一般に慣習に慣れ親しんでいるので、記号の使い方は慣習にしたがった使用方法にするのが望ましい。
なお、二分ダーシは、図番号・表番号で、“図3–5”のように章番号を組み合わせて表示する場合や、外国人名の片仮名表記で複合姓を示す場合にも使用されている。
二分ダーシは、前に配置する文字とも、後ろに配置する文字とも、その字間は、原則としてベタ組にする。範囲を示す場合も、単語をつなぐ場合もベタ組である。ただし、外国の人名で複合姓などを示す場合には、前後を四分空ける方法もある。
二分ダーシは、これまで、行末または行頭に配置してよいかどうかはあまり問題にされてこなかった。組版ルールを記載した本にも記載されてこなかった。このことから、二分ダーシを行頭に配置した例を見かける。
しかし、二分ダーシを行頭に配置することはあまり体裁のよいことではない。行末はよいとしても、行頭は避けた方がよい。そこで、JIS X 4051でも、第3次規格(2004年)では、二分ダーシを行頭に配置することを禁止としている。
図1:二分ダーシに似た記号の例