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4月2日(月)、東洋美術印刷(東京・飯田橋)がシェアオフィス・シェアハウスとして運営する別館の1階に、ギャラリー&スタジオ「ii-BRIDGE」がオープンした。
オープニングイベントとして行われた、「ハタチ基金×JAM PICASO らくがきアート公募展」(~4月13日(金))は、同社の山本社長が代表を務める日本ソーシャルデザイン学会が主催したもので、被災孤児たちの学び・自立を支援するハタチ基金、そして子どもの落書きを原画にしたアート作品を制作するJAM PICASOのとのコラボレーションによって実現した。
■250点以上の公募作品の中から、一部の作品を展示
この公募展は、被災地の子どもたちが描いた「ふるさとの一番好きなところ」の落書きをもとに、アーティストやデザイナー、学生などが手を加えた作品を募集。それを、カレンダーやアート・広告作品に加工し、作品使用料の一部を子どもたちへの支援金としてハタチ基金に寄付する仕組みになっている。
4年前から子どもの落書きを使って自分の作品を作り始めたというJAM PICASO発起人の佐藤健郎氏は、子どもたちの原画を用いて作られた作品をカレンダーやハガキ、帽子などに加工し、見て感動してくれた人がその商品を買うことで、アートを通して様々な支援ができるような仕組み作りが重要だと述べ、公募展でも作品を商品化したカレンダーやiPhoneケースなどが販売された。
■商品化されたカレンダー。この他にも様々なグッズに加工されていた
「飯田橋」への思いや、人と人をつなげる架け橋のような「場」になるようにという願いを込めて作られた「ii-BRIDGE」は、自社の情報発信スペースとしての利用以外に、クリエイターが自分たちの表現したいことを自由に表現し、また、地域を活性化させる手段として地元の人たちにも活用してほしい、と山本社長はいう。
クライアントとユーザーの間に立って情報を加工し、情報を発信するノウハウを蓄積してきた印刷会社がリアルな「場」を用意・提供し、人と人や思い、街、モノなどをつなぐネットワークを構築していくことは、印刷会社の事業領域や可能性を広げる一つの新しい手法となりえるだろう。
(JAGAT 日本印刷技術協会 研究調査部 小林織恵)