本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
ソーシャルリーディングや公共施設単位でのコンテンツ提供サービスなど、人々の「知」を豊かにする挑戦が続いている。【JAGAT大会・特集7】
ソーシャルメディアの利用が進んでいる。日本では2004年2月にスタートしたmixiが先行したが、2010年にはTwitter、2011年にはFacebookがブームとなった。Twitterのアクティブユーザー数は1.4億人、利用者の70%がアメリカ以外からのアクセスで、日本は3番目に大きな市場という(4月16日同社発表)。Facebookは、日本の月間ログイン利用者数が1000万を超えたことを3月16日に公表した。一方、mixiは3月の月間ログインユーザー数を1512万人と公表、年齢層は20代が50.0%、30代が23.7%、15~19歳が15.1%と若年層が圧倒的に多く、そのうち女性が52.9%を占めている(2012年3月期決算資料)。
東日本大震災では、Twitterやmixiが個人の情報インフラとして大きな役割を果たした。この2月にはFacebookが世界に先駆けて日本で災害用伝言板機能を公開した。ソーシャルメディアは個人としての利用だけでなく、企業や団体による利用も進んでいる。
橋本大也氏はJAGAT刊『印刷白書2011 』の「クラウド×ソーシャル時代の新ビジネスモデル考」において、(1)キュレーション・メディア、(2)シェア・コラボ消費、(3)オープンガバメントを3つの有望なビジネスモデルのキーワードとして挙げ、(3)の事例として武雄市がWebサイトを閉鎖してFacebookに完全移行したことを紹介している。
日本のインターネット業界草創期から活躍している橋本氏は、2003年9月から毎日更新しているブログ「情報考学―Passion For The Future」によって、カリスマ書評ブロガーとして知られるようになった。年200冊以上の本を読む橋本氏は、ソーシャルリーディングにも期待を寄せている。もちろん、TwitterやFacebookも利用しているが、やはり毎日更新されるブログが中心となっている。
大日本印刷電子出版ソリューション本部から電子出版制作・流通協議会に出向している池田敬二氏は、武雄市図書館デジタル化推進協議会委員も務めている。
武雄市のMY図書館構想は樋渡啓祐市長が次のようにツイートしたことに端を発する。
武雄市図書館の本を電子媒体化し、iPadなどに配信、もしくは、図書館でiPadに入れ込むなどして、24時間 365日、わざわざ図書館に来なくて済む
「MY図書館構想」を来月ぶち上げます。新刊本は対象外、図書館法、著作権法などの関係法令の壁に挑戦します。ご期待ください。
2010年7月30日 - 23:38 HootSuiteから
2011年4月13日にサービスを開始した「武雄市MY図書館」は、iPad用アプリを使い、図書館に行かなくても自分のiPadで図書を借りることができる日本初の取り組みで、iPad本体を借りることもできる。市が著作権を所有する市史や市報から始めて、青空文庫、国立国会図書館の蔵書(著作権処理済み)、さらに個別に了解が得られた図書として、村上龍「歌うクジラ 電子書籍版」や人気有料アプリの「元素図鑑」、「ダ・ヴィンチ電子書籍アワード2011」大賞を受賞した「ヌカカの結婚」など、毎月配信図書を拡大している。
武雄市は2006年の市町村合併によって、面積は約1.5倍に拡大したが、図書館が1つしかなく、限られた予算で図書館というサービスを成立させるための手段として、図書のデジタル化が持ち上がった。つまり、デジタル化が目的ではなく、ソーシャル型の新しい図書館のあり方を模索している。
池田氏は、TwitterやFacebookで積極的に情報発信を行っているが、「JAGAT大会2012」に関して、次のようにツイートしている。
橋本大也さんとセミナーでご一緒することになったので「ブックビジネス2.0」(実業之日本
社)を復習。「公共図書館の機能は、欧米におけるキリスト教の教会の機能に似ている。図書館に神はいませんが、情報による救いと癒しの場として、地域コ
ミュニティの場として、図書館に頑張って欲しい」
2012年5月12日 - 22:13 webから
関連イベント「JAGAT大会2012 」
2012年6月22日(金)東京コンファレンスセンター・品川にて開催決定!
第2部 クロスメディア分科会「電子販促・電子出版時代のビジネスを考える」では、
橋本大也氏をモデレーターに、池田敬二氏と読売新聞の小野寺昭雄氏がスピーカーを務めます。