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「JAGAT印刷産業経営動向調査」より新技術、サービスの導入状況、満足度、導入意向を紹介する。
JAGATが毎年、会員企業を対象に実施している「印刷産業経営動向調査」の2011年度の調査結果から新技術/サービス/システムの導入状況、今後の導入意向についての結果を紹介する。
【表1.現在導入率の高い順】
表1は現在導入が多い順に並べたものである。第1位はカラーマネジメントシステムで67.0%、第2位が高精細印刷とバリアブルデータ印刷が同率で52.0%であった。
以下ユニバーサルデザイン39.0%、電子書籍36.0%となっている。
昨年から大きく率を上げたのは、電子書籍(16.4ポイント増)、広色域印刷(13.8ポイント増)、バリアブルデータ印刷(13.6ポイント増)、である。電子書籍は調査項目に取り入れた2009年度調査から毎年大きく導入率を上げている。導入社数は少ないが、フォトブックとカーボンフットプリントの伸びが大きい。クロスメディア展開、デジタル印刷活用、環境対応という3つの軸でサービス展開が進んでいる。意外に伸び悩んでいるのがWebToPrintやリモートプルーフというWeb活用である。
【表2.満足度の高い順】
導入した結果の満足度は、A:大変満足、B:やや満足、C:普通、D:やや不満、E:非常に不満の5段階評価で回答してもらい、A:5点、B:2点、C:0点、D:-2点、E:-5点という重みづけで点数換算して満足度を数値化している(表2)。
導入率が10%を超えているもので、平均満足度が高いのはXML自動組版(1.04点)、リモートプルーフ(1.00点)、WebToPrint(0.85点)の順となっている。昨年最も満足度が高かったバリアブルデータ印刷は0.67点から0.21点と数値を下げている。普及が進むと差別化も難しくなるということであろうか。
特筆すべきはデジタルサイネージの満足度が-0.92点、電子書籍の満足度が-0.61点とワースト2を占めている点である。新規サービスの立ち上げはできても、それをビジネスとして成功させるのは容易ではない。
【表3.今後3年以内に導入予定の高い順】
表3は今後3年以内に導入を予定しているとの回答が多い順に並べたものである。第1位はWebToPrintの16.0%で3年連続のトップとなった。昨年同率トップであった電子書籍は13.0%の3位で相変わらず導入意向は高い。特徴的なのはJDFワークフローが15.0%で第2位、JDF対応MISが11.0%で第4位に入っていることで、JDFワークフローは導入率(9.0%)を6ポイントも上回っている。自動化への関心が大きく高まっていることが窺える。
一方で、広色域印刷、高精細印刷の導入意向は低くなっている。
全体として電子書籍、デジタルサイネージ等のクロスメディア展開が進むもビジネスには課題を抱えていることと、今後は自動化が大きなテーマという結果となった。
(研究調査部 花房 賢)
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「JAGAT印刷産業経営動向調査2011 」
※最新の調査結果をまとめた2012年度版は6月発行予定です。