本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
ルビの配置法と自動処理
漢字の読み方を示す(読み仮名を付ける)方法には、次のようなものがある(図1参照)。
(1)漢字の後ろの括弧内に、その読み方を示す。この場合、図1の上側の例のように、漢字と同じ文字サイズとする方法と、下側の例のように括弧内の文字サイズを1段階小さくする方法とがある。
(2)漢字の後ろの括弧内に、2行に割書(わりが)きにして、その読み方を示す。この方法は割(わり)ルビと呼ばれている。行間の狭い辞書などで採用されている。
(3)漢字の傍らにルビ(振り仮名)として示す。
ルビは、むつしい漢字の読み方を示す場合だけでなく、外国の翻訳語(外来語)に仮名で読み・意味を示す場合にも利用する。
ルビの付け方(どの語に付けるか)や配置処理(組版処理方法)には多くの方法があり、これが唯一の正しい配置方法であると決定するのはむつかしい。そうではあるが、やはり誤読されない、読みやすい、バランスがとれている、という方法は考えられよう。
配置方法は、ルビを付ける漢字1字の読みを示すのか、熟語の読みを示すのか、また、その言葉を別の片仮名語で示すのが目的か、といったような目的に応じて考えていく必要がある。縦組か横組かでもルビの配置方法は変わってくる。
また、ルビが付く語の前後に配置する文字種によってもルビの配置方法は変化し、なかなかやっかいである。
活字組版では、ルビの配置についての一般的なルールを前提に、個々の箇所で工夫してルビの配置位置を決めていた。問題があれば、校正段階で個別の箇所ごとにルビの配置位置を変更していた。DTP等でも、ある程度のルールは決めていても、個々の箇所でルビの入力方法を変える、あるいは配置のルールを変更し、その場にあった配置にすることも行われている。
このような処理方法では、ルールは原則的なことを決めておけばよく、ある程度あいまいさを含んでいてもよいことになる。原則的なルールをもとに、個別箇所で様々な条件を考慮し、その箇所で最適になるように応用していけばよい。
しかし、コンピュータ組版を前提にした場合は自動処理が原則であり、ある確定したルールでルビの配置を行い、個々の箇所での変更はしない、と考えた方がよい。そこで、各種のケースを考慮にいれ、どのようなルールにすればより問題がでないようになるか、細部の処理まで含めたルールを確定する必要がある。
ルビを付ける語の選定方法には、次の2つの方法がある。
(1)総ルビ 出てくる漢字の全部にルビを付ける方法である。児童書などで行われている方法である。
(2)パラルビ 出てくる全部の漢字ではなく、一部の漢字にのみ付ける方法である。一般書では、この方法がよく採用されている。
パラルビの場合、選定したルビを付けるとした語すべてに付ける場合と、初出に限り付ける方法とがある。
初出に限り付ける方法では、その本全体を通しての初出、章ごとの初出、見開きページ単位での初出など、いくつかの方法がある。
ルビを付ける語の選定は、読者対象、出版物の性格などを考えて一定の基準をたて、難易にむらがないように付ける。
なお、ルビは語単位に付けることを原則とし、熟語のうちの1字だけ、または一部だけに付けるやり方は、特殊な場合を除いてなるべく避ける。
こうした作業は一般には編集段階の仕事であるが、編集作業を支援するといった意味では、こうした作業もコンピュータでの自動処理が必要になる。