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モノルビ・グループルビ・熟語ルビとは
ルビの使用は様々であるが、主な使用例として漢字の読み方を示す場合がある。
一般に平仮名を用いることから、平仮名ルビという。漢字の読み方を示す平仮名ルビには、漢字1文字ごとの読み方を示す場合と、2文字以上の漢字で構成される熟語の読み方を示す場合がある(図1参照)。
漢字1文字ごとの読み方を示す場合は、それぞれの親文字(ルビの付く対象の漢字)ごとにルビを対応させて配置する。
熟語の読み方を示す場合、熟語を構成する各漢字と読み方を示すルビを厳密に対応させて配置する方法と、熟語を構成する各漢字と読み方を示すルビを対応させるが、熟語としてのまとまりを重視する方法とがある。
熟語の中には、当て字や熟字訓など、おのおのの漢字にルビを割り当てることができない場合がある。この場合は、対象の語全体に対して平均して振り当てる(図1参照)。
図1
また、ルビはある言葉の意味を外国語の片仮名書きで示す例も多い。これを片仮名ルビという。
片仮名ルビは1つの単語として対象の語に付くのであるから、当て字や熟字訓などと同じように、おのおのの漢字にルビを割り当てることができないので、対象の語全体に対して平均に振り当てる(図1参照)。
語全体に対してどう平均に振り当てるかは、いくつかの方法がある。
その他、親文字が欧文の単語、あるいはルビに欧文の単語を用いる例や、ルビの位置に漢字を使用する例もある(振り漢字という)。
組版上からは、ルビを付ける対象の文字である親文字が1字の場合と、複数の親文字にまとめて付ける場合とに分けることができる。
親文字が1字の場合の処理法は、モノルビとよばれている。熟語であっても、厳密に漢字ごとにルビを対応させて処理する場合もモノルビと同じ処理になる。
これに対し、熟語に付けるルビでも熟語としてのまとまりを重視するルビ、当て字や熟字訓の読み方を示すルビ、言葉の意味を外国語の片仮書きで示す片仮名ルビでは、親文字は複数になる。
この場合、対象の語全体に対して平均して振り当てる当て字や熟字訓のルビや片仮名ルビの処理法は、グループルビと呼ばれている。親文字やルビが欧文の単語の場合も、グループルビということになる(漢字などの親文字と仮名のルビの場合とやや処理は異なる)。
熟語に付けるルビで、熟語としてのまとまりを重視するルビは熟語ルビと呼ばれている。なお、熟語ルビは、JIS X 4051の2004年の改正で採用された名称である。
熟語ルビにおいて、ある語句のどの範囲までを1つの熟語として扱うかは編集段階での判断による。例えば、複合語や成句などでは、その語全体を1つの熟語ルビの親文字として扱うか、2つの熟語ルビ(又はモノルビ)の親文字として扱うかは、編集段階での判断による(指定による)。
例:紆余曲折(う/よ/きよく/せつ) 又は 紆余(う/よ)曲折(きよく/せつ)
例:鶏小屋(にわとり/ご/や) 又は 鶏(にわとり)小屋(ご/や)
例:津和野町(つ/わ/の/ちよう) 又は 津和野(つ/わ/の)町(ちよう)
また、日本人の人名でも、姓と名を合わせて1つの熟語ルビの親文字として扱う方法と、姓と名を別の熟語ルビ(又はモノルビ)の親文字として扱う方法とがある。
例:武田泰淳(たけ/だ/たい/じゆん) 又は 武田(たけ/だ)泰淳(たい/じゆん)
例:小山清(こ/やま/きよし) 又は 小山(こ/やま)清(きよし)
グループルビは一体として扱うことから、コンピュータ組版では、一般に2行にわたる分割は禁止である(活字組版では、必ずしも分割禁止ではなかった)。
特に字数の多い親文字のグループルビが行末付近にきた場合、行の調整処理で字間が大きく空いてしまうケースもある。この場合は、親文字とルビとの対応を変更するなどの細工が必要になる。
なお、前述した熟語ルビは分割禁止ではない。各親文字と対応するルビをセットとして2行に分割することは可である。