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地域や多様な業種とのネットワークを持ち、印刷メディア制作によって蓄積したノウハウや情報を持つ印刷会社。昨今ではそれらを活用し、地域活性や町おこしの中心的存在として活躍する印刷会社が増えている。
「地域活性化」はこれまで、行政や企業、民間・市民団体や大学など、様々なプレイヤーが主体となって国内各地で取り組まれてきた。最近では、経営にCSR活動を取り入れ、受注した印刷物を作るだけでなく、自分たちが持つ情報やノウハウを利活用しながら地域の課題を解決する「地域活性化ビジネス」に活路を見出し、事業を手がける印刷会社が増えてきている。
今年創業138年となる奈良の株式会社明新社は、春・秋以外は観光客が訪れずに閑散とする「夏枯れ」の問題を解決するため、複数の団体と協力して「なら燈花会」という観光イベントを企画した。世界遺産に囲まれた奈良公園をはじめ、さまざまな場所で柔かな火が灯る「燈花会」は多くの観光客を呼び、「夏枯れ」を解消するイベントになった。
また、商店街にある旧社屋を商店街活性化のために利活用したいと考えた際に、店舗シャッターに遷都1300年祭のキャラクター「せんとくん」と、市民団体が公募したキャラクター「まんとくん」を描くと全国ネットで取り上げられ、多くの観光客が訪れるスポットになった。その後、せっかく足を運んでくれる観光客のためにと、印刷の受付窓口があった事務所部分を、奈良のキャラクターショップ「ならクターショップ絵図屋」としてリニューアルオープンした。
その後も、旧印刷工場での演劇上映やご当地ヒーロー「YAMATO超人ナライガー」の考案、マーチング委員会活動への参加など、今まで自分たちを支援し育ててくれた地元地域が活性化するための活動を数多く続けている。
■奈良に誕生したご当地ヒーロー「YAMATO超人ナライガー」
愛媛県松山市のセキ株式会社は、地域住民に地元情報を届けるため、「タウン情報まつやま」「住まい情報」「ビジネスえひめ」「リクルートナビ」「四国旅マガジンGajA」など数多くの地域情報誌や地域出版物を通して、地域おこしに貢献してきた。
しかし、インターネットの普及・IT技術の発達により情報伝達方法は大きく変わり、地域読者のニーズにどう応えていくが現在の課題になっている。地域ならではの情報をいかに収集し、保有する地域コンテンツを多重利用していくことが、地域コンテンツビジネスの今後の鍵と考え、地域の観光を促進するための様々な手法を試している最中だ。
■四国の一品を集めたWebサイト「四国おとりよせマルシェ」
11月8日(木)、プリンティング・マーケティング研究会では異なる切り口から地域活性化ビジネスを手がける3つの印刷会社から講演者をお招きし、「地域活性化ビジネス 2012」セミナーを開催。キャラクタービジネスーや商店街活性化、地域出版や観光、町おこしイベントや地域ブランディングなどに取り組む各社の事例や成功のポイント、取り組む上で気をつけるべき点などについて伺う。
2012年11月8日(木)14:00-17:00
地域活性化ビジネス 2012
~キャラクター、商店街活性化、地域出版、観光ビジネス、地域ブランディング、イベントで町おこし~
印刷会社は、様々な業種や地域との密なネットワークのほか、優れた情報加工技術を持っている。今後はそれらを活かし、地域を盛り上げるための新たなコンテンツを生み出すことが印刷会社の重要な役割になっていく、という認識が広がり始めた。実際に、地域活性化ビジネスに新たな活路を見出し、実績を上げている印刷会社も増えている。印刷会社が手がける「町おこし」、「地域活性化ビジネス」とは。