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誰でもタブレット・スマートフォンを持つことが当たり前となり、顧客の営業活動も大きく変わりつつある。顧客のビジネスを支援する方法も変わらざるを得ないだろう。
「Webファースト」とは、2005年頃から欧米の新聞業界で言われるようになった言葉である。
Web版を発行するようになった当初は、新聞誌面用に作成したコンテンツをWeb版に流用することが一般的だったが、この頃からWeb版を先行して制作・配信し、その後誌面制作に取りかかる方式に変わってきたことを指す。
現在では、新聞に限らず、カタログ、マニュアルなど多くの紙メディアに当てはまる考え方となった。また、雑誌・書籍のデジタル版と印刷物を想定して、より広義に「デジタルファースト」とも言われるようになった。
少し前まで、新聞・雑誌、書籍、製品カタログ、マニュアルなど、ほとんどの分野で「印刷ファースト」が一般的であり、いかに効果的に印刷データを流用するかが重要とされてきた。または、デジタルと印刷の二刀流、並行作業をおこなっており、同じ内容の校正を2回以上おこなうなど、非効率きわまりないこともあった。
しかし、世の中ではスマートフォンやタブレットが急速に普及しつつある。個人で使用する人だけでなく、ビジネス・シーンでも急速に普及している。例えば、1,000人単位のセールスパーソンにiPadを配布し、電子カタログで営業活動する時代である。
年に1回しか改訂しない印刷物のサイクルでは、対応できない。
「Webファースト」や「デジタルファースト」の最も重要なポイントは、メディア公開やコンテンツ制作の順番ではなく、ワンソースマルチユースという考え方である。つまり、1つのコンテンツから公開するメディアに応じて加工することが、最も低コストで効率的だということである。
スマートフォンやタブレットを想定したデジタルコンテンツ制作と印刷物制作の両方を、各々の発信サイクルにしたがって効率的に制作するには、コンテンツ管理の仕組みを構築して、ワンソースマルチユースを実現しなければならない。
つまり、スマートフォンやタブレットでの情報発信や活用ができなければ、顧客のビジネス自体が成長できない。印刷会社の使命である顧客のビジネスの成長を実現するには、「Webファースト」や「デジタルファースト」への移行を支援し、推進しなければならない。
今年のpage2013では、表立ったキーワードにはなっていないが、中味は「Webファースト」や「デジタルファースト」を表すソリューション展示も多い。
また、同様に関連テーマを取り上げたカンファレンスも多い。
このテーマの動向に注意しながら、展示会やカンファレンスに参加してはいかがだろうか。
■2013年2月開催 page2013カンファレンス
2月7日(木) 9:45-11:45 G3「デジタルパブリッシング市場とソリューション」
2月7日(木) 12:30-14:30 G4「iPadカタログ・チラシが必要とされる理由と最新動向」
2月8日(金) 12:30-14:30 G5「電子ジャーナルと専門分野の電子出版」