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モノルビ、グループルビ、熟語ルビの性質を考慮した上で、各々の使い分けに関する案を示す。
これまで、モノルビ、グループルビ、熟語ルビに分け、それぞれについて複数のルビの配置処理方法を解説してきた。ここでは、これまでの解説や配置例を参考に、ルビの配置処理の1つの案を示すことにする。
ここで解説するルビの配置方法については、次のような基本的な考え方を前提にする。
(1)可能なかぎりルールを単純化するように努める。
(2)縦組と横組の両方に対応できる共通のルールを考える。
(3)平仮名ルビと片仮名ルビは、特に区別しないで、同じ扱いとする。
(4)親文字は漢字と仮名とし、ルビ文字は片仮名と平仮名とする(欧字は、ここでは対象外とする)。
(5)ルビの文字サイズは、親文字の1/2とする。
ここで解説する配置方法については、モノルビ、グループルビ、熟語ルビの3つを対象とする。一般的な書籍を対象とする場合、これらの区別を行わないと、読みやすいルビの配置はできない、と考えたことによる。
グループルビは、コンピュータ組版においても、2行への分割を可能とする処理方法を工夫する必要があるように思われるが、ここでは2行への分割を不可とする。
熟語ルビは親文字と対応するルビの組合せを単位としての2行への分割を可とする。
モノルビ、グループルビ又は熟語ルビについて、いずれも親文字列からルビがはみ出した場合の処理は、次による。
(1)親文字列からルビがはみ出した場合、親文字列の前後に配置する漢字・平仮名・片仮名には、はみ出したルビをルビ文字サイズで二分まで掛けてよい。音引き、繰り返し符号、小書きの仮名も、はみ出したルビをルビ文字サイズで二分まで掛けてよい。
(2)親文字列の前に配置する始め括弧類、親文字列の後ろに配置する終わり括弧類、親文字列の前後に配置する中点(前後に四分アキを確保している場合)には、はみ出したルビをルビ文字サイズで二分まで掛けてよい。ただし、行の調整で、中点の四分アキが詰められている場合は、その詰められているアキを限度とする。
(3)親文字列の後ろに配置する句点類と読点類には、はみ出したルビをルビ文字サイズで全角まで掛けてよい。
(4)親文字列の前に配置する句点類、読点類及び終わり括弧類の後ろの二分アキ、または親文字列の後ろに配置する始め括弧類の前の二分アキには、はみ出したルビをルビ文字サイズで全角まで掛けてよい。ただし、行の調整で、この二分アキが詰められている場合は、その詰められているアキを限度とする。
(5)分離禁止文字には、はみ出したルビをルビ文字サイズで全角まで掛けてよい。
(6)連数字、単位記号中の文字、欧文用文字などを和文中に配置する場合、その前後は四分アキにする。この四分アキ(ルビ文字サイズでは二分)の部分にルビ文字サイズで二分までルビを掛けてよい。
(7)改行行頭の全角アキを含め、和字間隔(全角スペース)には、ルビ文字サイズで全角までルビを掛けてよい。
(8)ハイフン類、区切り約物、前置省略記号、後置省略記号、行中に配置する注の合印、割注を囲む括弧、縦中横にした文字列には、はみ出したルビは掛けてはいけない。
(9)行頭又は行末では、親文字列の先頭又は末尾を揃えなくてもよく、ルビ文字列の先頭又は末尾を揃えればよい。
(10)親文字からはみ出したルビは、別のルビの付いている親文字に掛けてはならない。
ルビ文字列の全長が親文字列の全長に対し超えたもの同士が並んだ場合、それぞれのルビ文字列は接してよい。なお、その間に別の文字・記号が挿入されている場合は、少なくともルビ文字サイズで全角アキとする。異なった親文字列の間に漢字や仮名が配置される場合は、これらに掛かるはみ出したルビは、ルビ文字サイズで二分までなので、このケースでは少なくともルビ文字サイズで全角アキとなる。問題となるのは、括弧類や句読点が間に入った場合である。この場合は、これの前後のアキや句読点に掛かってよい限界をルビ文字サイズで二分までとする。
モノルビの配置処理は、次による。
(1)親文字が1字でルビが1字の場合は、中ツキにする。
(2)ルビが2字以上の場合は、親文字とルビ文字列の中心を揃えて配置する。
配置例を図1に示す。
図1
グループルビの配置処理は、次による。
(1)グループルビについて、どの範囲を1つのグループルビとするかは指定による。
(2)ルビの字数が親文字の2倍未満の場合、親文字列は、ベタ組とし、ルビ文字列は、ルビ文字列の字間を2に対し、親文字列の先頭からルビ文字列の先頭までのアキと、親文字列の末尾からルビ文字列の末尾までのアキを1の比率で空け、それぞれの文字列の中心を揃えて配置する。ただし、親文字列の先頭からルビ文字列の先頭までのアキと、親文字列の末尾からルビ文字列の末尾までのアキは、最大値をルビ文字サイズの全角とし、それを超えたアキは、ルビ文字列の字間に均等に配分する。
(3)ルビの字数が親文字数の2倍、又は2倍+1字の場合、親文字列とルビ文字列はベタ組とし、親文字列とルビ文字列の中心を揃えて配置する。
(4)ルビの字数が親文字2倍+1字を超える場合、ルビ文字列は、ベタ組とし、親文字列の前後は各四分アキとし、更にルビ文字列の親文字2倍+1字を超える量について、親文字列の字間を2に対し、ルビ文字列の先頭から親文字列の先頭までのアキと、ルビ文字列の末尾から親文字列の末尾までのアキを1の比率で空け、それぞれの文字列の中心を揃えて配置する。
配置例を図2に示す。
図2
熟語ルビの配置処理は、次による。
(1)複合語や人名の場合などにおいて、どの範囲を1つの熟語ルビとするかは指定による。
(2)熟語を構成する個々の漢字に対応するルビがすべて2字以下の場合、それぞれの親文字とルビ文字列を対応させて配置する。この場合、親文字に対応するルビが1字のときは、中ツキにする。
(3)熟語を構成する個々の漢字に対応するルビが3字以上である親文字を含んでいる場合で、ルビ字数が親文字の2倍+1字以下のときは、親文字列及びルビ文字列はベタ組とし、親文字列の中心とルビ文字列の中心を揃えて配置する。
(4)熟語を構成する個々の漢字に対応するルビが3字以上である親文字を含んでいる場合で、ルビ字数が親文字の2倍+1字を超えるときは、ルビ文字列はベタ組とし、2倍+1字を超える量について親文字列の字間だけを均等に空け、親文字列の中心とルビ文字列の中心を揃えて配置する。
配置例を図3に示す。
図3