本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
6月29日(土)と30(日)、(株)東京アート印刷所が主催する食べ歩きイベント「第3回すみだバルウォーク」が開催された。印刷会社が仕掛ける地域活性化イベントとは。
昨今、商店街活性化、街の活性化手法の1つとして注目されている「バル(Bar)」イベント。3000円前後のお得な複数枚チケットを事前購入し、イベント当日は参加店舗でピンチョス(おつまみ)とお酒を楽しむ、というのが基本スタイルだ。しかし、参加店舗は新規顧客の開拓や店舗PRが、参加者は小額投資でお店の雰囲気を知り、新規店舗の発掘ができるメリットがあるため、飲食店のほかにも体験教室や土産店など飲食店以外の参加も徐々に増えているようだ。
2013年6月29日(土)と30日(日)で、第3回目の開催を迎えた「すみだバルウォーク」は、東京墨田区・錦糸町にある(株)東京アート印刷所が主催するイベントだ。「気になるお店を飲み歩き、新しい発見をしてほしい。たくさんハシゴして、たくさんお気に入りのお店を見つけてほしい!そして、その街を歩いて見てほしい」という思いからスタートしたのだという。
3回目となった今回は、初の2日間開催となり、参加店舗数は錦糸町を中心に押上・業平・両国界隈にある72店舗と過去最大になった。参加店舗の顔ぶれも居酒屋やBAR、エスニック料理、和食、カフェ、ラーメンなどの飲食店に加え、銭湯やフラダンスの体験レッスンなど、多彩な顔ぶれだ。
Webサイトでチケットを事前購入すると、後日、参加店舗のマップとチケット、参加バンド、区内循環バスの1日乗車券が届いた。マップには、参加店舗の提供メニューやイベント参加時間のほか、区内の観光名所を散策する「すみだバル散歩」の記事もあり、街を見ながら食べ歩きを楽しめるようなガイドになっている。
■すみだバルウォークで使用されるチケットと参加店舗MAP、参加バンド
イベント当日、錦糸町駅で降り、駅前に設けられた当日受付ブースに立ち寄ると、先着者プレゼントとして台湾茶と日本酒の振る舞い酒を頂いた。スタッフの方に見送られ、目当ての店舗に向かって歩いていると、バルウォーク参加店舗の「のぼり」や、道端でマップを広げながらどの店舗に行くか相談する人たちをそこかしこで見かける。
■マップと目立つ色の参加バンドで遠くからでもバル参加者とわかる
店舗に到着すると、店内はすでに満席で店の外にも入店を待つ人の列が出来ていた。店内・外ともに2~4名のグループで参加している人が多く、年齢層は様々だ。参加者に話を聞くと、「1回目から参加。新しいお店を発掘するのが楽しみ。毎回違うメンバーを区外から連れて来て参加している」、「今回初めて参加したが面白い。少額で気になっていた店の雰囲気や味を確かめられるのがいい」など、参加経験に関係なく、楽しみながら参加している様子が伝わった。
■お昼を過ぎてもこの混雑ぶり。この後、ここに並ぶ人をもってバルメニューは完売した
また、参加店舗の方に話を聞くと、「1回目からバルウォークに参加しているが、イベント参加後は新しいお客さんが増えている」のだという。参加者は、気になる店の料理や雰囲気を安価で体験することができ、参加店舗は自慢の1品を提供することで新規顧客の獲得機会が得られるなど、両者にとって参加するメリットは大きい。「すみだバルウォーク」は、参加者と店舗という点と点を結び、人を回遊させながら会場となる街全体を知り、PRできるイベントなのだ。
印刷会社は従来、顧客の情報発信を支援する黒子的な存在として経験やノウハウを積み、能力を発揮してきた。今後は、イベントで使用するポスターやチラシ、チケットなどの印刷だけでなく、イベントの主催側へと周って企画を練り、様々な知恵を絞りながら街を活性化し、新しい需要を創造していけるのではないだろうか。東京アート印刷所の主催する「すみだバルウォーク」は、その好例だろう。