本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
「クロスメディア」というキーワードから想起されるビジネスやサービスの「現在(いま)」を毎月再考していく。
ワークショップとは、本来は「作業場」「工房」の意味ですが、現在では、恊働(コラボレーション)と体験を通して創造と学びを生み出す手法としてビジネスの世界でも活用が進んでいる。一方的な講義やセミナーだけでなく、ワークショップを取り入れることによって、参加する側の意識もまるで変わってくることは、新入社員研修を担当してきた経験でも確信しておりました。最近では電子書籍をテーマにしたワークショップを全国各地で行うことが多くなっております。
2013年7月27日に第1回ブレスポ「書を持って街を出よう―電子書籍の広がり」(主催 クリエイティブ・シティ・コンソーシアム http://creative-city.jp/ )
というビジネスセッションにゲストトークとして登壇してきました。ブレスポとはブレイン・スポーツの略で、脳に汗をかくアイデアワークショップがメインになります。私は、ワークショップに繋げるために「出版(本)を取り巻く環境」というテーマで講演を行いましたが、あくまでもメインはワークショップで、私も楽しみにしておりました。大学院生から還暦を超えられたベテランビジネスマンまで様々な参加者がどのようなアイデアを生み出し、恊働して研磨していく様を参与観察できると思うとワクワクしておりました。
テーマは「デジタルになって生まれるビジネス〜未来のコンテンツサービスを考える〜」。想像をはるかに越える斬新なアイデアと初対面とは思えないグループ内の結束力、熱狂ぶりにワークショップの可能性をあらためて感じました。
具体的な進め方は、まずは個人で10分間、頭に浮かんだアイデアをポストイットに書き出して行く個人ワークを行い、その後は6人ひと組のグループ内で自分のアイデアを披露し、その中からベストのアイデアをグループ全体でブラッシュアップさせて、プレゼンテーション。その後、参加者全員でどのアイデアがもっとも良かったかを投票(自分が所属するグループ以外に投票)します。
恊働(コラボレーション)とは、複数の主体が、目標を共有し、力を合わせて活動することを意味しますが、ワークショップに参加したり、司会進行役のファシリテーターを務めたりするとまさにこの価値観の違う個人同士がぶつかりあいながらも目標を共有しながらアイデアをブラッシュアップさせていくことがワークショップの醍醐味であることを実感します。経営者層の経験と勘によるピラミッド型の強引なリーダーシップとは対極にあります。
特に電子書籍やクロスメディアビジネスは、もう技術やデバイス、プラットフォームといったビジネスを成立させるためのパーツはある程度、出揃ってきました。これから必要なのは、まさにビジネスにしていくための組み合わせやアイデアです。個々の会社内でワークショップを実践してアイデアを出して行くことも必要ですが、もう一つ重要なキーワードがオープンイノベーションです。会社や業界の枠を超え、アイデアを共有し、ビジネスにつなげて行く。ソーシャル・ネットワークを駆使して、アイデアを集め、共有する。クラウドファンディングで賛同者から資金を調達すると言った手法も取り入れつつ、生身の人間がぶつかりあうワークショップという手法も新規ビジネスや地域活性化という課題を切り開いていく手法としての可能性がまだまだあると強く感じました。
一般社団法人 電子出版制作・流通協議会
池田 敬二
1994年東京都立大学人文学部卒業後、大日本印刷に入社。入社以来、出版印刷の営業、企画部門を歴任。2010年より一般社団法人 電子出版制作・流通協議会 事務局に勤務。趣味は弾き語り(Gibson J-45)と空手。JAGAT認証クロスメディアエキスパート。日本電子出版協会クロスメディア研究委員会委員長。JPM認証プロモーショナルマーケター。
Twitter : @spring41
Facebook : https://www.facebook.com/keiji.ikeda
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