本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
今後は、用紙媒体だけでなくあらゆる“Print Media Products”という、これからのマーケットが求めるものづくりを各製造工程の技術の変遷をたどるなかで見直す必要も出てくる。
この海外情報では、欧米における特徴のある生産設備について、従来の生産方式の延長線上にある新たなイノベーションとの組み合わせによる事例をご紹介してきた。今後、各企業がどのようにして、デジタル印刷の分野を生産手段の新たな柱にして、枚葉印刷機械との併用生産手段の相乗効果を 生み出し、顧客サービスとして仕組みを構築していくのか、戦略的な差別化対策が大変注目される。
EU 域内にも歴史ある企業は多くあるが、この10 年の期間だけを見るとさまざまではあるが、デジタル印刷という新たな生産環境の変遷を見つけることができる。世界経済の低迷と企業再編の影響も続き、新た な対策は急務ではあるが、どの国でも共通の課題であるこの問題に対して、具体的に何が変わったのか、または、変えてきたのか。昨年までとは違い、復活に向 けて市場経済が動き出しているからこそ、今後の設備投資計画による生産改善と同時に、ヒューマンパワーのための教育に投資することを期待しておきたい。
このプリントメディア市場の急激な変化のなか、今後は何に注目しておく必要があるのだろうか。
グローバルな動向は、国際印刷機材展での投資効果が薄れたため、規模の縮小が続き出展中止情報が続いている。そのため、必要とされる価値あるイノベーション
の実績は、企業訪問でしか見ることができなくなることも予想される。しかし、製造現場でセキュリティ対策が今まで以上に厳しくなってきているため、顧客
は、発注契約を条件にさまざまな制約を要求してくることが普通となり、工場内を公開することは、今後も減り続けるであろう。しかし、受け入れなければビジ
ネスとしての商談は成立しない。このような対応も本来の価値に対する顧客独占の道筋となっている。当然ながらそれらのノウハウは企業秘密であり、市場で公
開されることはない。
印刷産業界の製造工程における技術の変遷は、ドイツのdrupa開催年で見ると、その注目されたイノベーションが一つの時代の流れを表してきた。しかし、製品が市場に導入され、ある程度普及してビジネスが成功し安定期に入るまでの期間は、5 年から10 年を見るのが妥当だと思える。もちろん、新しく生まれて残る技術と消える技術は、必ず両方あるものである。
現在、標準化に取り組み戦略的に規格認証を取得する企業が増えている。国内と違い、海外の最も効果的なPSO(Process Standard Offset)の取り組みは、VLF 対応の枚葉印刷機械を導入した企業の方がビジネスメリットが大きいはずである(VLF シリーズ&106 シリーズ!『JAGAT info』3月号参照 )。これが21 世紀の“ 新たな儲けを生み出す生産環境” の一つであるともいえる。現在もEU 各国の経済環境が厳しいなかだからこそ、マーケットの変化に注目し、知る必要があるのは、着々と成功企業が増えてきているからでもある。
し かし、日本においては、発注者と印刷会社の関係において、この考え方を受け入れることに、まだまだ時間を要するのは間違いなく、仮に受け入れ可能となり取 り組む企業が増えたとしても日本の印刷産業界が抱える構造的な問題は変化してこない。(詳細略)逆にいえば、取り組めないことが、これもまた、“ 現状における儲ける生産環境(手段)” の一つであると捉えることができる。
特 に、印刷工業製品のものづくりを客観的な数値で印刷するための波は、Drupa 後の1990 年前半からスタートした。この10 年間でいったい何が起き何を変えてきたのか。そして、先行投資した企業に遅れること、次の2000 年からの10 年間では、これらの生産環境を改善するための製品群が各社から出そろった。そのため、中小企業でも国内全域であらゆる製品の導入が続き欧米でのPSOの環 境構築につながってきた(Japan Color認証含む) 。
今後は、用紙媒体だけでなくあらゆる“Print Media Products”というこれからの“ マーケットが求めるものづくり” を各製造工程の技術の変遷をたどるなかで見直す必要も出てくる。2060 年の日本では、人口約4000 万人が減少すると統計予測されており、どのようにして新たな“ 無人化”と“省力化” を強力に推し進めることができるかが大変重要な鍵になってくる。
それは、着々と海外の企業でもそのアイデアと知恵が生み出されているのだから、この “Innovation and Technology”をThe next wave とする次の波は、必ず日本にもやってくるであろう。既に一部では始まっているのだから。
Graphic Arts in the World Media World Communications Co., Ltd. Taku Matsune E-mail: このメールアドレスはスパムボットから保護されています。観覧するにはJavaScriptを有効にして下さい |