本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
国内でも生産環境が変化するという、市場が動き出す兆候は、さまざまなビッグデータの客観的な動向による分析結果から推測が可能となってきた。
この海外情報では、“ 新たな儲けを生み出す生産環境” または、“ 現状における儲ける生産環境(手段)”ということについて、前回の記事 で簡単に紹介した。
2010年の夏以降、VLF( Very Large Format) 市場の実態を把握することも含め、数カ月間ドイツに滞在していた。その時期に、Facebook の“Like(いいね!)”ボタンは、ニュースメディアほか、さまざまな種類約200万のサイトに採用されていた。
約3 年前とはいえコンテンツをよく“Like” するユーザー“Liker” は、Facebook を含めたソーシャルメディア上では、よりアクティブであり、大きな影響力を与えることも分かっていた。
当時、Facebook 利用者の平均年齢は34 歳である。“Like” ボタンを押した直後に購入の可能性がアップする割合は51% という統計もあったのだから、自社のマーケティング戦略に今後も役立ててもらいたい。この本文を読んで、皆さんは、一度でも“Like” ボタンを押したことがある? Yes! or No! さて、どうだろうか?
現在、Web to Print に取り組む企業のほとんどは、既にFacebook 上でも顧客からの評価を受けネット上で公開されている。このビジネスモデルのドイツの一例においても着目すべき点は、急速に増える1 日の仕事数(Jobs =1,000、2,000、3,000、5,000、7,000、10,000・・・/1 日)の処理方法(全印刷工程)である。
同業他社からの仕事量が、仮に3 割~6 割の比率であった場合でも、パーソナルユーザーが増えて、比率に変化が現れると大幅な生産体制の見直しは避けられなくなる。
2013年度に入ってから公開されたドイツの印刷業界(2011-2012)における数字は次の通りである。
同国内の事業所数は、この2000年から2011 年までの11 年間で約30% 減少している。その詳細は、2000 年度に1 万3922 社であったが、2010 年度は1 万43 社まで減少、そして、2011 年度に9746 社まで減少した。現在の事業所を従業員数区分(1 人~19 人、20~49人、他)で見た場合、この11 年間の減少比率は、25% 以上と非常に高く、50 人未満の事業所数では、約30%(減少)となっていた。減少率が少ないのは、従業員100 人~499 人の事業所で、約14.4%であった。
このことはさまざまな要因が考えられるが、財政支援融資策(受け入れ企業形態の優位性)と既存の生産設備の大幅な見直し策と改善策の実行および有能なマンパワー効果策(大幅な人件費コスト削減対策実施後でも即戦力となる人材の確保)によるメリットなどが考えられる。
また、2011 年度は、従業員数20 人未満の企業の割合は全体の83.1%、20 人以上50 人未満が10.4% となっており、合わせて50人未満の割合が93.5% となった。
次に、従業員の雇用数は、2000 年度は22 万2891 人であったが、こちらも減少し続けた結果、2011年度の9746 事業所数に対して、15 万4524 人(減少幅-30.7%)であり、これが現在の印刷産業の規模と構造と捉えられる。そのほか詳細については、機会があればご紹介したい。
さて、日本国内の場合、既に着々と多くの企業が、経済復活への波に乗ろうと政府の中小企業事業者支援予算の検討をしている。(既に第一次募集終了/専門家派遣制度は本年度も継続して開始されている)これは、欧米にも同様な制度はあるのだが、EU 経済の中では、ドイツが制度化されており活用されている。
今後、各企業がどのようにして、デジタル印刷の分野を生産手段の新たな柱にしていけるのか研究が続いている。そのためにも枚葉印刷機械との併用による生産手段の相乗効果を生み出し、顧客サービスとして取り囲む仕組みを構築していくのか、戦略的な差別化対策が大変注目されると同時に、必要となってきている。
次の2014 年度まで残りわずかとなったが、動きも見えつつある。2014年度以降、国内でも生産環境が変化するという市場が動き出す兆候は、さまざまなビッグデータの客観的な動向による分析結果から推測が可能となってきた。このことから期待するものは、プリントメディア産業にもほかの産業と同様に“ これまでになかったサービスが果たして生まれるのか” という点であろう。 これからの課題はまだまだ続く。
Graphic Arts in the World Media World Communications Co., Ltd. Taku Matsune E-mail: このメールアドレスはスパムボットから保護されています。観覧するにはJavaScriptを有効にして下さい |