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方向性を明確に出し、目標を数値化し、現状をつまびらかにして共有するというプロセスを経ながら社員の意識改革を図り、自らの意志で業務改善を行うようになるというのが理想の姿で、「見える化」はその手段となる。
厳しい受注環境のなかで収益性の改善は喫緊の課題である。印刷需要全体が減少するなか無理な売上拡大策はかえって安値競争に巻き込まれる可能性が高い。
現状の売上水準で収益性を高めるには
1)固定費を削減する
2)加工高(付加価値)比率を高める
という二つの方法がある。
加工高とは総売上から材料費や外注加工費などの外部支払費を差し引いたもので、個々の企業が生産活動やサービス提供を通じて新しく生み出した価値、付加価値といえる。この付加価値が固定費を上回れば会社は黒字となり、下回れば赤字となるという原則を、まずは全社員で共有したい。
加工高比率を高めるには、当然のことながら内製率の向上が求められる。外注内容を分析して、社内に取り込めるものがあるかどうかを調べることから始めてみる。何らかの事情があっての外注判断という結果なので、そのままでは即、内製率向上とはならない。営業、製造、工務それぞれの立場で、改善に向けた行動が求められる。それを促すために経営サイドから提示したいのが以下の3点である。
1)(売上よりも)収益性重視という方向性を明確に打ち出す
2)外注費の削減目標を数値で示す
3) 受注一品単位の収支を見える化する
どうすればよいかを考える材料となる
もちろん、これだけで変わるわけではないし、ここでは触れないが社内の製造コストを下げる努力も必要である。いずれにせよ、方向性を明確に出し、目標を数値化し、現状をつまびらかにして共有するというプロセスを経ながら、社員の意識改革を図り、自らの意志で業務改善を行うようになるというのが理想の姿で、「見える化」はその手段となる。
来年2月に開催されるpage2014セミナーでは、今回も「見える化」をテーマに取り上げ、「全員経営」をキーワードに各社の取り組み事例を紹介する予定である。期待していただきたい。
(教育コンサルティング部 花房 賢)