本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
印刷業における地域活性ビジネスへの取り組み状況や実態について、JAGAT『印刷会社と地域活性』レポートの中から内容を一部紹介する。
JAGATが発行した地域活性ビジネスの入門ガイド『印刷会社と地域活性』では、会員企業を対象に実施したアンケート調査の結果や実際の取り組み事例、地域活性に取り組む経営者の座談会など、印刷業界における地域活性ビジネスへの取り組み状況や方法を知るコンテンツを数多く盛り込んでいる。今回は、アンケート結果から見えてきた印刷会社における地域活性ビジネスの実際を一部紹介する。
前回の記事で、回答企業の70.8%、7割以上がすでに何らかの地域活性ビジネスに取り組んでいると述べたが、地域活性ビジネスに関わる人員数を聞くと、1、2名から30名までと回答社によりばらつきがあり、経営者が個人的に取り組む会社から地域活性ビジネスに関する専門の部署を持つ会社までさまざまだった。詳細を見ると、最多解答は「1~3人」で半数弱の44.9%、次いで「4~6人」の31.9%と、6人以下で取り組む会社が全体の約8割を占めている。事業に関わる平均人員数は5.7人だった。
次に、地域活性ビジネスへの取り組み体制を見ると、「自社のみで取り組んでいる」というケースが43.9%、全体の4割以上と最も多い。次点には、「別団体(JC,商工会議所など)」(37.8%)や「異業種との連携」(36.6%)が続いている。自分たちの地域を活性化する、という共通の目的のため、業種や団体の垣根を越えて協力関係を築き、互いの得意分野や持っている能力を生かし合いながらビジネスに取り組んでいる例が多い。
自社のみで地域活性に取り組む印刷会社が約半数となっている現在は、「工場、会社見学の受け入れ」が55.3%と最多取り組み例となっているが、今後取り組みたい地域活性ビジネスとして最も人気があったのは「地域ブランディング」(39.0%)で4割近い回答を集めた。次点の「自社オリジナル商品・キャラクター開発」(36.4%)についても3割強の会社が取り組みたいと回答している。印刷会社が地域の特性を生かしたゆるキャラやご当地ヒーローなどのオリジナルキャラクターをプロデュースし、地域ブランディングに一役買いながら成功を収める事例が増えているため、大きな注目を集めている。
また、地域内の別団体や異業種と連携しながら地域ビジネスに取り組む印刷会社も多いことから、「商店街活性化」(31.2%)や「観光支援ビジネス」(29.9%)など、地域全体の活力を向上させるような取り組みへの意欲も高まっていることがわかった。
ほかのあらゆるビジネスと同様、短期的な利益追求は難しい地域活性ビジネスだが、持続的に地域のプロデュースを行うことで、地域とともに自社の価値を0高めることも可能になる。今後、自社の将来を考える際には地域活性ビジネスの担い手となり、地域と自社がともに発展する構図も考えるようにしていただきたい。
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page2014では、「印刷会社の地域活性」を取り上げるセッションを企画している。今回は「商店街活性」や「観光支援」をテーマに地域活性ビジネスに取り組む業界内外の講演者を迎え、ビジネスの組み立て方や他団体との連携方法など、実際に地域活性ビジネスを立ち上げるまでのノウハウやポイントについて深堀りする内容を予定している。地域活性ビジネスに取り組んでいる方、またこれから取り組まれる方にはぜひ受講していただきたい。
(JAGAT 研究調査部 小林織恵)
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