本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
今後、プリントメディア市場が将来に向けて必要とするイノベーション(技術革新)とは何か。
ドイツのプリントメディア産業の現状であるが、現在、約9500 社の事業所数に対して、就業人数は約15 万1000 人、中小企業中心の産業構造に変化はなく、2011 年度の報告よりも更に規模は縮小している。2012 年度の市場規模(売上高)は約205 億ユーロとなっていた。
※ 2013 年8 月16 日現在:1ユーロ=130.15 円/2 兆6068 億円
今後、プリントメディア市場が将来に向けて必要とするイノベーション(技術革新)とは何か。日本においても2014 年度と2015年度には、政府主導による景気対策の予算が実行される。“ ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金” による第一次、第二次募集で申請が承認され、業界の期待感は膨らんできている。
このことは、製造業として生産設備に影響する産業機械の受注が増加傾向にあるという統計資料から判断することができるのだが、一部の業種では、設備投資意欲の波は既に始まったといえるであろう。
同様な対策は、前述の欧米各国でも既に実行されており、このことが、より生産効率を高くするための最新設備投資につながっている。その投資計画を考える際、どのような設備を選択しているのかということが大変重要になってくる。
その4 つのキーワードは、「自動化」「高速化」「省力化」「省人化」であり、これは従来の方式よりも大幅に生産効率が改善されると同時に製造コストの削減に効果がある。そのため、この新たな生産フローが構築されることによって、印刷というものづくりを通じて、新たな顧客サービスが生まれることにも期待しておきたい。
枚葉印刷機械についての一つのイノベーションは、生産速度が最高(オプション仕様)18,000枚/時であることが挙げられる。このことは、最新機種の動向として注目されつつある。さらに、最新の機械の共通点では、版交換作業時間に掛かる時間が大幅に短縮できる装置が開発され、版胴数に関係なく(同位相型版交換装置の場合)、約1分から約3 分の目安となる時間で版交換作業を完了させることが可能となった。
これは、VLF 機の選択以外にも、台数消化を目指す製造現場には大いに威力を発揮することができる必須の条件として挙げられると理解できる。この価値は大きい。
この最初のイノベーション(機械の駆動機構の開発)があった時期に、drupa2004 の会場で多くの来場者の注目(manroland 700 DirectDrive System)を集めることになったが、その後、既にKBAとHeidelberg からも競合機が市場導入済みである。drupa2004からdrupa2008 とdrupa2012 と約10 年の時を経て、いよいよ、2014 年以降に普及期がやってくることになる。
同時に、インライン化された自動見当制御・測色制御・紙面検査装置も既に複数開発され、商業印刷とパッケージ分野で導入が続いているが、これは、市場が要求する変化に対する期待されていたニーズの一つに過ぎない。
最後に、企業の成長を実現するためには、従来のやり方をあらゆる面で変えるという意味でのイノベーション(技術や製品の革新は当然)が重要となるが、同時に、大きなリスクが付きまとうため、これからは、さまざまなリスク管理が不可欠であることも改めて認識しておきたい。
Graphic Arts in the World Media World Communications Co., Ltd. Taku Matsune E-mail: このメールアドレスはスパムボットから保護されています。観覧するにはJavaScriptを有効にして下さい |