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ブランジスタはメールマガジンの配信やインターネットキャンペーンなどネットでの販促支援業務を行っていた会社だ。新たなビジネスとして電子雑誌『旅色』を創刊したのは2007年、アメリカでKindleが発売された年で、今年で7年目を迎える。
『旅色』は、大人の女性をターゲットにしたトラベルウェブマガジンだ。女優のインタビュー、エリア特集、全国各地の温泉紹介など旅に関連したコンテンツを掲載する。紙版はなく、電子媒体のみで広告収入が主な収益源である。月間の読者数は80万人以上、大手出版社の電子雑誌購読数にひけをとらない数字だ。多くの読者を獲得した要因は、映画やTVで活躍する著名人やタレントを表紙やコンテンツに起用している点である。
同社社長の岩本恵了氏に話を伺ったところ、有名女優・俳優にとって、『旅色』に出演することが、自身のイメージアップになると感じてもらえるような品質にこだわって制作しているという。無料のWebコンテンツには出たがらないタレントでも「世界観があり、キレイなレイアウトで、キレイに撮ってくれる雑誌であれば出てくれる」からだ。電子媒体のみの発行であればWebサイトとして見せるという選択肢もあったなか、あえて雑誌のレイアウトにこだわったのはその理由だ。
電子媒体にかけられる人数はわずか数人というところも少なくないなかで、同社では商業雑誌レベルのクオリティを実現するために、数十人が編集、制作に関わり、多額の費用をかけてコンテンツを制作している。それでも制作費よりも広告収入のほうが上回るため十分成り立つのだという。
もうひとつ、『旅色』がビジネスとして成功した要因が、販促支援会社として持っていた営業力である。同社ではスタッフの半数以上が営業担当者。全国8か所にある営業所から担当者が地域の宿泊施設や飲食店に足を運ぶことで、大手広告代理店が取りこぼしている広告も獲得できている。
出稿する宿泊施設や飲食店にとっても、自社のサイト上で、掲載された電子雑誌の自社関連ページのみを公開できるという付加価値がある。電子雑誌そのものが、広告獲得のためのツールとしての役割を果たしている。
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同社はもともと顧客のビジネスを支援する会社として企画提案のノウハウや全国び営業ネットワークを持っていたことが電子雑誌ビジネスにおいても非常に役立っている。自社の強みを新しいビジネスに活かした事例としても参考になる。
(研究調査部 中狭亜矢)
4月のクロスメディア研究会では、ブランジスタの岩本社長に、自社のビジネスモデルなどについてお話いただきます。
人を集めるWebコンテンツ制作と見せ方~フリー電子雑誌「旅色」、メガネEC「Oh My Glasses」、CG動画ニュース「TomoNews」
2014年04月18日(金) 14:00-16:30(受付開始:13:30より)
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