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印刷物の生産現場では、今まで以上に重要度を増す課題として、1 人当たりの生産性の向上があげられる。
印刷物は、ほぼすべての事業活動に必要な媒体であり、電子メディアの重要性の高まりにもかかわらず、印刷された広告やプロモーションは、広告市場の最大のシェアとなっている。ドイツでは、印刷製品の総生産額の約60%(約1 兆6000 億円)が広告関連製品となっている。2013 年7 月に発表されたドイツの印刷業界の現状は、約9300 社の事業所数に対して就業人数は約15 万人である。印刷物の受注は、主に国内顧客からの需要が非常に高く、総売上高に対する海外売上高の輸出割当シェアは現在13.6%(3629 億円)となっている。(参考:『JAGATinfo 20139 月号』)
印刷物の生産現場では、今まで以上に重要度を増す課題として、1 人当たりの生産性の向上があげられる。もちろん、若手オペレーターから熟練オペレーターまで製造スタッフ全員の意味である。生産性を高めるためには、どのようにして、実践で役立つさまざまな技能習得のトレーニングを行うかが重要になってくる。それに伴う課題も多い。
ドイツの例で見ると、プリントメディア業界の従業員のトレーニング費用は労働協約で決定されており、その期間中、研修生は毎月支払いを受け取ることが可能となっている。この金額は、初年度1 年間は853.40 ユーロ/月(2012年8 月)である。一方で熟練労働者(高齢者再雇用対策を含む)のための制度も賃金契約が締結されており、転職や再就職のために新しい技術などを取得するためさまざまなトレーニング環境が用意されている。
各国における印刷技術のトレーニング手法の中で、今、非常に注目されている製品がある。本年度のアメリカ印刷業界において、インターテックアワードを受賞した、フランスのシナップス社が開発した枚葉印刷機シミュレーター“SHOTS”(ショッツと呼ぶ)という名称のソフトウェア製品である。 指導するインストラクターは、クラウド型ネットワークの環境下のDLMS システムで訓練生を登録し、彼らのコースワークのセットアップを行う。そして、印刷機の問題シナリオを作成するか、あらかじめ定められた演習問題を幾通りも繰り返し学ぶことができる。
今後、新たなイノベーションに対応すべく、より高いレベルでのプリンティングトレーニングが必要となる。効率的に学べる環境が整えば、大幅に生産効率が改善されると同時に製造コストの削減に効果が期待されているので、このようなトレーニング用ソフトウェアに注目しておきたい。
Graphic Arts in the World Media World Communications Co., Ltd. Taku Matsune E-mail: このメールアドレスはスパムボットから保護されています。観覧するにはJavaScriptを有効にして下さい |