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消費者ニーズやメディア環境に合わせ、提供する価値やサービスを変化、これまでにない新しい魅力や強みを獲得する折込広告と電子チラシの現状は。
「2013年の日本の広告費」を見ると、印刷業界と密接な関わりを持つプロモーションメディア広告費(折込、DM、フリーペーパー・フリーマガジンなど)は2兆1446億円(対前年比0.1%増)と2年連続で増加した。
しかし詳細を見ると、モーターショーなどの展示会、商業施設における屋外広告やイベント、交通広告におけるデジタルサイネージ、POPなどの活性化が全体を押し上げ、印刷メディアの多くは前年割れとなっている。
プロモーションメディアの約1/4を占める新聞折込広告は、2年ぶりの減少となる5103億円(前年比1.2%減)となった。2013年は出向ベースで横ばいになるも、印刷代・用紙代の上昇による用紙サイズの縮小傾向や、年後半における出稿鈍化などが影響した。
その他にも、新聞購読者減少に伴う到達率の低下、数値化しにくい費用対効果など、新聞折込広告を取り巻く環境は依然として厳しいが、2014年1月は対前年比0.7%増、2月は同2.8%増、3月は同3.8%増と、消費行動に直接影響を与えるメディアとして評価の高い折込広告は、消費税増税前の駆け込み需要を促すメディアに選ばれ、出稿量を伸ばした。
また、最近では、従来は出稿の少なかったメーカーなどを中心にしたユニークな活用・最新事例が増えている。広告内容は購買喚起にとどまらず、商品認知の促進や店舗誘導、商品利用のシーン提案やメニュー提案など、広告主の目的に合わせて、折込広告が持つ媒体特性を生かし、新しい実績を獲得している。
一方、登場から10年以上を経過、紙と同じ情報をWebで見るところから始まった電子チラシは、ユーザーに広く浸透し、媒体の地位を確立した。特に2013年は「Shufoo!」において、Webの情報量が紙の情報量を上回るなど、「Webチラシ元年」と言えるエポックメーキングな年となった。
最近では「Shufoo!」ユーザーについて、GISを用いて来店者のニーズやお店ごとのクラスタを分析、レポートにまとめてフィードバックすることで、顧客のマーケティングに一役買うなど、折込広告が持つ費用多効果の課題を解決し補完するサービスから、新しい機能を持つメディアへと進化している。
また、ほかのデジタルサービスと連携させることで、ファンの獲得やブランドの認知、マーケティングのフォローなど、顧客の「サブオウンドメディア」として、様々な役割を果たす存在にまで成長している。
消費者意識やメディア環境の変化、消費税増税を経て、折込広告や電子チラシの役割や機能はどう変わっていくか。今後、印刷会社が顧客のパートナーとして課題解決や要望をかなえていくためには、常に情報のアンテナを張り、顧客や市場ニーズの変化を把握、最新の動向や事例を捉えていくことが極めて重要になってくる。
2014年5月13日(火)14:00-16:00
変化する新聞折込広告と電子チラシの最新動向2014
時代や消費者意識、メディア環境に合わせ、提供する価値やサービスを変化させる折込広告と電子チラシ。各媒体の最新動向や事例から、今後の展望や「紙」と「デジタル」の強みを生かした棲み分けについて考える。