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ドイツで見たメディアの現状と今後について
ドイツでは経済政策の実績として、中小企業の活性化が必要不可欠であり、最重要でもあると認識されて取り組みが続いてきた。2012 年度のドイツの印刷業界が、従業員数20 人未満の企業の割合が全体の83.2%、20 人以上50 人未満が10.0% となっており、合わせて50 人未満の割合が93.2% であることから、企業規模を従業員比率で見た場合でもその対象に含まれていることが分かる( 2011年度93.5%。 JAGATinfo: 2013 年7 月号参照) 。
中小企業の活性化政策の結果は、EU 圏内の製造業全体の中で高く評価されている。この経済政策の本来の目的は、少しでも GDP の低下防止につなげることにあり、その結果、経済の活性化を推進することであった。
日本では、多くの上場企業がこの3 月に決算期を迎え、4 月から新年度のスタートとなる。この時期には、前年度までの景気動向の情報が必要になる。その一つ、各国の実質経済成長率ついて、1980年から2013 年までの33 年間の7カ国分の推移を下図1 に紹介する。
この経済成長率は、GDP が前年比でどの程度成長したかを表すものであり、また、実質GDP の変動が実質経済成長率と呼ばれている ため、特に2000 年以降の変化に注目したい。2010 年の前後と現在の状況は、中国以外は均衡しているだけに、わずかな差がその国 のその年の設備動向と対貿易に影響していることになる。
ドイツの印刷業界においても年末のホリデーショッピングシーズン(11 月末から4 週間連続となる恒例のクリスマス商戦と長期冬季休暇期間)は、その年の締めくくりとして、翌年につながるビジネス環境改善のためにも大いに期待するものであった。ところが、ビジネスの状況の改善を期待する印刷会社の割合が、2013 年12 月中の12%と比較して、本年1 月には、7%へと減少したことから結果的に期待するほどの大きな効果(売上増)は得られていなかった。
次に、下図2 の統計資料は、2013 年度のドイツの新聞印刷とオンライン報道の状況(比率)を表している。用紙媒体である新聞印刷は、約63%(Print)なのに対して、オンラインポータルの比率は、約45%(Online)になっている。また、紙とオンラインによるメディア両方を必要とする市場は、約81%(Print + Online)となっており、プリントメディア市場の一つの分野である新聞においてもオンライン市場のコンテンツと組み合わせる必要性があることを意味していると理解できる。
図2 ドイツの新聞印刷2013 年
今後、企業の競争力強化のためには、地域経済ネットワークを利用し、イノベーションの向上と原材料の効率的利用が重要な鍵となってくる。これを支援するため、ドイツでは、連邦経済エネルギー省による一定条件の補助金を支給する政策が実施されている。今後、中小企業は、このような制度を上手く活用することによって、これらのイノベーションをどのようにマネジメントすることが効果的であるかの助言を受けながら、今まで以上に経営課題を克服していく必要があるであろう。
Graphic Arts in the World Media World Communications Co., Ltd. Taku Matsune E-mail: このメールアドレスはスパムボットから保護されています。観覧するにはJavaScriptを有効にして下さい |