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自由度や表現度、信頼性の高さなど紙の強みや特性を生かす一方、積極的なデジタルとの連動で効果を上げるフリーペーパー、社内報・企業PR誌。今後の可能性と新しい役割、印刷会社にできることが見えてきた。
電通「2013年の日本の広告費」を見ると、運用型広告が好調のインターネット広告費やメディア価値が定着してきた衛星メディアなどが堅調な伸びを示した一方、プロモーションメディア広告費のなかでも印刷業界と密接な関係を持つ媒体の成長は横ばい状況となった。
フリーペーパー・フリーマガジン広告費の成長も鈍化、減少傾向が続いているが、構成比は雑誌に次ぐ位置を維持し、1紙誌あたり、1社あたりの発行部数は増加傾向にあるなど、媒体の価値・勢いは衰えてはいないようだ。
紙の特徴である自由度や表現度を生かし、広告主の商品やサービス内容を分かりやすく表現、興味喚起から購買喚起までを完結できるメディアとして選ばれてきたフリーペーパー・フリーマガジンだが、近年は、デジタルとの積極的な連動を進め、広告主の課題を解決する高レスポンスな手法を企画・提案し、成功事例も数多く生まれている。
「ターゲットセグメントメディア」「インタラクティブメディア」「セールスプロモーションメディア」という3機能にデジタルの利点を組み合わせ、「広告媒体」として新しい活路を開き、実績を上げる一方、生活者に最も近いメディア、地域メディアの核という特性に注目が集まり、「文化紙誌」として情報を発信、地域活性化を担うという新しい役割も期待されている。
フリーペーパー・フリーマガジンと同様に、紙とデジタルの強みを理解し、うまく使い分けながら効果的な情報発信を行っているのが、社内報・企業PR紙誌である。
例えば、社内報では速報性や連絡性の高い内容はWeb社内報として発行し、トップメッセージや営業の成功事例共有、顧客接点、社員紹介など、社風の熟成や伝達、ブランディングなどに関わる情報については読みものに加工し、保存性や携帯性に優れた紙の社内報として発行される。
企業PR紙誌についても同様である。企業をPRするオウンドメディアを会社案内や採用パンフレット、CSR報告書などの「紙」媒体とホームページやSNSなど「デジタル」媒体に切り分け、『信頼性」や「上品さ」、「即効性」や「閲覧性」など互いの特徴や強みを生かし切り、相互補完するようにメディア設計をすることで、その企業を効果的にPRする制作物が出来上がるという。
例えば、BtoBで使用されることの多い会社案内は、企業ブランディングの大切なツールになる。掲載するコンテンツはもちろん、紙や加工、色などにもこだわることで、その企業「らしさ」を十分に伝える会社案内が出来上がり、相手にも簡単に企業イメージを伝えることができるという。
ただし、効果的な制作物を作り上げるには、社内報・企業PR紙誌に関係なく、企業の歴史や大切にしてきた思い、言葉、理念を収集・整理し、企業DNAを紐解きながら、コンテンツを作り上げていく「企画力」が必要になる。そこに、印刷知識や技術力など印刷会社が持つ能力が加わることで、一段階説得力のある制作物が生まれる。
消費者意識やメディア環境など、フリーペーパー・フリーマガジンや社内報・企業PR紙誌を取り巻く環境の変化は続くが、「紙」対「デジタル」という考え方ではなく、互いの利点をぶつけ合い、より効果的で価値の高い媒体を作り上げていくことが、印刷会社に求められる役割であり、媒体の可能性を広げていくことに繋がるだろう。
2014年6月26日(木)14:00-16:30
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