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近年横書き文書が増加し、コンピュータ関係やDTP関係の印刷物に英語表記の単語が多くなっている。その結果、和文・欧文の和欧混植組版が増えている。しかしそのわりには、欧文書体や欧文フォントの使い方に関する見識が乏しいと思えることが見受けられる。
たとえば和文フォントと欧文フォントの整合性という、タイポグラフィとしての感性に欠けているケースが散見されるのである。そこで欧文フォントに関するデザインの基本について述べてみたい。
フォントという言葉が一般的に使われているが、本来欧文活字の世界で使われていた言葉で、ある書体(タイプフェイス)の、1サイズの文字種の一揃えを「フォント」という。
1フォントの内容は下記のようになる。
1.大文字(キャピタル・レター) A~Z
2.小文字(スモール・レター) a~z
3.数字 0~9
4.記号類 ,.:? % & など
5.小頭文字(スモール・キャピタルレター)A~Z
欧文文字は、次の5本の仮想線とxハイトを基本としてデザインされる(図参照)。
1.アセンダーライン(ascender line)
小文字のなかで、xハイトより上に突き出ている部分を「アセンダー」といい、その上端を横にそろえるラインを「アセンダーライン」という。dfhklなどの小文字。
2.キャピタル・ライン(capital line)
キャピタル(大文字)の上端を揃えるラインをいう。
3.ミーンライン(mean line)
小文字のxの上端を揃えるラインをいう。
4.ベースライン(base line)
欧文文字の並び線(alignment)をいう。
5.デセンダーライン(descender line)
小文字のなかで、ベースラインより下に突き出ている部分を「デセンダー」といい、その部分の下端を揃えるラインを「デセンダーライン」という。jpqyなどの小文字。
6.xハイト(x height)
小文字の天地寸法のことをいう。
「セット」とは文字の横幅のことをいう。欧文文字は和文文字と異なり、文字ごとに異なるセット幅でデザインされている。このセット幅は各文字間のバランスに影響を与え、欧文組版の可読性に重要な役割をはたしている。
欧文書体のデザインにおいては、左右の仮想ボディに対して字面(じづら)の左右に余白をとる。これを「サイドベアリング」という(図参照)。
セット幅はこのサイドベアリングを含めて設定され、欧文組版の際の送りピッチに相当する。