本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
ワールドカップは印刷会社の売上高にどんな影響を与えるのか。JAGATが30年以上に渡って調査している「印刷業毎月観測アンケート」のデータから過去4大会を考察する。
サッカーのワールドカップは4年に一度開催され、2014 年はブラジルで6月12日から7月13日にかけて開催される。ワールドカップはテレビ視聴者数・観客動員数・開催期間ともオリンピックを大きく上回る規模で、世界の人々の関心は高く、経済波及効果も大きい。
日本代表は1998 年のフランス大会で初めてワールドカップに出場、以降は2002年ドイツ、2006年日韓、2010 年南アフリカの4 大会に出場した。出場権を逃したドーハでの試合、初めて出場権を掴んだジョホールバルでの試合など、本選だけでなく予選も含めて人々の関心は高い。
過去、ワールドカップの開催は印刷ビジネスにどのような影響を与えてきたのだろうか。日本が出場した過去4 大会を振り返ってみたい。
JAGAT は「印刷業毎月観測アンケート」を30 年以上に渡って実施してきた。この調査で把握してきた売上高伸び率をベースに、ワールドカップの開催される6 月と前後3 カ月で売上高伸び率がどのように変わったかを見る。
大会開催の6 月は過去4 大会の売上高伸び率が△ 3.7%である。フランス大会△ 2.1%、日韓大会△5.1%、ドイツ大会△ 2.1%、南アフリカ大会△5.5%と、日本がグループリーグを突破した日韓大会と南アフリカ大会において特に低い。日本代表が勝ち抜き、試合数が増えるほど印刷会社の売上高が落ちる相関がわかる。
また、開催前3 カ月間の売上高伸び率平均は△2.0%、開催後3 カ月間の売上高伸び率平均は△3.2%と、開催前より開催後の方が売上高は落ちる傾向にある。開催前と開催後の各3 カ月間を合わせた6 カ月の平均は△ 2.6%だから、過去4 大会の実績からワールドカップ開催月の印刷会社の売上高は1%以上落ちると分かる。
見てきたように、ワールドカップ開催月は印刷会社の売上高が1%以上落ちる。たかが1%だが、1 カ月の間に3 日間3 試合で1%なので、日本代表戦の試合当日のたびに売上高が7~8%落ちることになる。企業の存続に影響を与えるほどではもちろんないが、営業効率は確実に低下する。
顧客側でも仕事に集中しにくいだろう。ワールドカップの開催期間中は、営業効率が下がりやすいことを念頭に、思い切って勤務シフトを変えるなど、観戦に集中して楽しんだほうがむしろ仕事の集中力も高まるように思われる。既にテレビ放映スケジュールは決まっていて、時差は最低減にとどまるよう配慮されているもようだ。こうした大型イベントの際の効果的な働き方については工夫するようにしたい。
ワールドカップブラジル大会 日本代表戦の日程
6 月15 日(日)10:00~ コートジボワール戦
6 月20 日(金)7:00~ ギリシャ戦
6 月25 日(水)5:00~ コロンビア戦
(『JAGAT info』2014年2月号より)