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アドビシステムズは、米国時間7/15に日中韓3か国語のほか、ラテン、ギリシャ、キリルの各文字をサポートするオープンソースフォント、Source Han Sansを発表した。
また、Googleも同日、同じものをNoto Sans CJKとして発表した。
※Googleデベロッパーリレーションズ
(Noto フォントファミリーに日本語、中国語、韓国語が加わりました。 )
これらのCJKフォントは、アドビとGoogleの共同開発によるもので、日中韓の3か国に対応している。シンプルさとモダンさを兼ね備えた統一的なデザインを持ち、各々7種類のウェイトが用意されている。
印刷とWebのどちらの用途でも、同一フォントを使用することができる。
実際のフォント開発では、アドビジャパンのフォントチームが基本デザインをおこない、各国の有力フォントメーカーである株式会社イワタ(日本)、Changzhou SinoType(中国)、Sandoll Communication(韓国)が細部のデザイン協力をおこなった。Googleは全体の企画、進行などを担当した。
Apache License version 2.0に基づくオープンソースフォントとして提供され、誰でも無償でダウンロードし使用することができる。また、ソースの改変やフォントデータの埋め込みなども自由におこなえる。
従来、日本語、中国語、韓国語で用いる漢字はそれぞれの言語ごとに書体開発が行われ、中国語については繁体字と簡体字とで別々のフォントが提供されることが一般的であった。
Source Han Sans(Noto Sans CJK)は、同一フォントファミリーとして15億人の人口が使用できる世界初のオープンソースフォントと言える。
従来の日本語フォントは印刷専用にデザインされた比較的高価な製品が主流で、近年ではサブスクリプション(定額)方式で提供されている。
スマホなどのモバイルデバイス用途では電子用フォントが別途必要になるため、印刷用フォントとモバイル用のフォントではデザイン面でも字種面でも、環境が異なるというのが実態だった。
また、モバイル機器やOS、Webブラウザを提供するメーカーから見ると、各国向けに別々のフォント環境を整える必要があった。
今後、GoogleはスマホやタブレットなどのAndoroid製品やChrome OSにこのフォントファミリーをバンドルすることが予想される。OSやブラウザ開発の面でも、日中韓の3か国語のサポートが容易になることだろう。
アドビにとっても現在はWeb関連やモバイル関連の比重が高くなっており、同様のメリットがあるのだろう。
一般ユーザーの立場から見ると、Andoroid製品やChrome OSパソコン、それ以外のブラウザで使用できる無償フォントがリリースされることが最大のメリットと言える。
(JAGAT 研究調査部 千葉 弘幸)