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主要印刷市場および製版印刷材料の出荷販売量から見る2008年11月の景況報告
11月の書籍雑誌推定販売金額前年比は△2.7%であった。書籍は1.1%増で10月に続いて前年を上回った。10月に続いて、映像化された単行本、文庫本が売れたことや金融関連本の売れ行きが良かったことに加えて、ミシュランガイド東京2009などの大型企画が刊行されたことがプラス要因だという(社団法人全国出版協会「出版月報」)。構造的マイナス要因の影響は小さく、企画次第で売上が変る状況になっている。雑誌は△5.2%で、ネット等の影響がまだまだ続いているようだ。
11月の広告業売り上げ前年比は、△14.7%という大幅な前年割れになった。単月ではバブル崩壊後の最大マイナス(△12%)をも上回る悪さである。マス4媒体では、テレビが△3.7%と小幅なマイナスだったために、全体は△8.5%に止まったが、新聞(△17.4%)、雑誌(△21.5%)のマイナスは極端である。SP関係は、9月以降、3ヶ月連続のマイナスで、特にSP/PR/催事企画は△29.1%と3割近い。さすがにインターネットも△3.4%で、統計が出はじめてから初めての前年割れになった。
11月の一般インキ出荷販売量前年比は△14.7%であった。中小一般印刷業に関連が深い平版インキは、8月に△12.4%を記録してから9月(△3.2%)、10月(△3.1%)は小康状態を保ったが、11月は一気に△14.7%にまで落ち込んだ。主力の平版インキは△16.0%でバブル崩壊後でもこの水準までは落ち込まなかったであろう。11月は樹脂凸版(△14.4%)、金属印刷インキ(△17.0%)、グラビア(△11.2%)と全てのグレードで2桁のマイナスになった。ちなみに、新聞インキを含む印刷インキ合計の前年同月比は△14.2%である。
12月の印刷情報用紙出荷販売量前年比は△18.4%という驚くべき数字になった。非塗工紙は△17.1%で、特に中級紙が△23.7%の落ち込みになった。塗工紙も全体として△23.4%の著しい落ち込みになった。4品目全てが20%以上のマイナスになっている。低グレード化の流れから10月まで大きく伸びた微塗工紙も11月には△7.5%になった。その他、フォーム用紙(△22.3%)、板紙(△15.1%)も最悪である。価格変動にともなう仮儒との関係もあるだろうが、とにかくひどい。
(「JAGAT info」2009年2月号)