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国の印刷発注にとどまらず民間の印刷発注にも今後多大な影響を及ぼすものと考えられる。
環境省は、グリーン購入法に基づく「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」を2月13日に公表した(全文は環境省ホームページ からダウンロード可能)。(1)紙類のうち「コピー用紙」の判断の基準に総合評価指標方式導入、(2)新規分野として「移動電話」の追加、(3)「太陽光発電・太陽熱利用システム」においてより大きな環境負荷の低減に配慮などの見直しの結果、19分野246品目となった。
「コピー用紙」の基準については、2008年1月に古紙偽装問題が発覚したことを受け、環境省は、各製紙会社に対して再発防止と環境対応策を指示するとともに、現行基準を満足するコピー用紙の生産を要請してきた。各製紙会社は現行基準を満たす製品供給を実現し、政府機関は基準を満足する製品の調達を極力行っている。しかし、環境に優しいコピー用紙を購入したいという強い需要に対応する供給体制は十分に整っていないのが現状である。
「コピー用紙」の原料として、引き続き古紙を最優先で利用していく方針は堅持しつつ、古紙に加え、森林認証材、間伐材、未利用材など、環境に配慮した原料も利用できることとした。さらに、環境配慮の指標である白色度・坪量を加えた総合評価指標を導入し、この総合評価指標の計算式に、各指標の数値を代入して算出し、一定以上のポイントに達した製品が特定調達物品等となる。
なお、「印刷用紙」の改正は見送られた。
「役務-印刷」の判断の基準も大きく変更された。古紙再生促進センターが作成し、日本印刷産業連合会が運用してきた「リサイクル対応型印刷物」の考え方が全面的に採用され、印刷物資材「古紙リサイクル適性ランクリスト」のAランク資材の使用が求められている。Aランク以外の材料を使用する場合は、使用部位、廃棄方法を記載すること。さらに、印刷物へリサイクル適性を表示し、ランクに応じて、A「紙へのリサイクル可」、B「板紙へリサイクル可」、C・D「紙・板紙へリサイクル不可」と表現することとしている。
また、配慮事項には各工程の環境配慮として、下記の5項目が取り上げられ、「日本印刷産業連合会作成の「日印産連『オフセット印刷サービスグリーン基準』及び『グリーンプリンティング(GP)認定制度』ガイドライン」を参考とすること」と明記されている(下記2、3の項目は今回新たに追加された)。
さらに、印刷会社が印刷資材のリサイクル適性に関する確認票を発行する仕組みが取り入れられており、これは国の印刷発注にとどまらず民間の印刷発注にも今後多大な影響を及ぼすものと考えられる。「資材確認票の適用については、平成21 年度を試行期間とし引き続き内容の検討を行うとともに、普及促進を図るものとする」とされているが、印刷業界として実効性のある環境対応がさらに求められる。
ちなみに、基本指針もリサイクル対応型印刷物で、「本冊子は、グリーン購入法に基づく基本方針における「印刷」に係る判断の基準にしたがい、印刷用の紙へのリサイクルに適した材料[Aランク]のみを用いて作製しています」と表示されている。
(『JAGAT info』2009年3月号)