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brain. design コンサルタント
社団法人日本印刷技術協会 客員研究員 佐々木雅志氏
提案はプロセスである。従って、きちんとした流れをもつ必要がある。提案プロセスとは、顧客の課題をある時間とコストを掛けて解決していくことである。それを論理的に筋立てて話し、「もしこれができればあなたの会社はこうなる」ということを説明するのが提案である。
では、良い提案と悪い提案は何が違うのか。実は、妥当性に関するギャップが問題になる。
きちんとヒアリングして、課題を抽出し、それを理解し、顧客と共通の認識をもつ。それに対する適切な解決策を作って、それを適正なコストで提案する。これが提案書の構成である。しかし、これらのそれぞれの段階でギャップが生じてしまう。
どのようなギャップが生じるかというと、
1 きちんと話を聞いていない。
2 きちんと分析ができていない。
3 きちんとした解決策が作れていない。
4 きちんとしたコストになっていない。
5 課題を解決するのに見合うものになっていない。
これらのギャップをきちんと埋めていくことが重要で、これが提案活動の中で確認していかなければならないことのすべてである。良い提案プロセスとは、ロジカルであること。すなわち、上記の5つのギャップをきちんと埋めていく、筋の通った提案である。
顧客にとって、自分の会社がどういうポジションにいるのかを知ることが必要になる。そして顧客のビジネスを理解すること。その分野で顧客が何をしようとしているのか、つまり顧客の目的を知る。そしてコンサルティングマインドをもつことである。自分たちに提供できるものだけでなく、顧客を広く捉えて、そういう分野で顧客はどうしたらいいのかを顧客の立場になって考えた上で、自分たちにどういう手伝いができるかを考える。そういう取り組み姿勢と、そういうことを考えていくための技術が必要である。
それから、まずこれをやってみようというスコープをきちんと決める必要がある。スコープには、コスト、期間、投入できる人など、いろいろ含まれるが、まずは、当面ここまでの範囲で、3ヶ月間掛けてここまでやってみようというようなことを決めることである。依頼提案の場合は最初からスペックが決まっているが、そうではない提案をする時には、スコープを決めるということは非常に重要である。このプロジェクトはいつまでに何をやればいいのか。何ができたら達成なのかということを考えるのが、最初に必要である。